結論:ビルドトラップの多くは“見立て違い(誤診)”から始まります。声・PV・平均TTV・RICE・カレンダーのズレを、Aha→TTV→翌日活性(D1)の“価値線”に戻せば止血できます。
朝会の空気は明るいのに、Ahaが増えない——そんな週は誤診が潜んでいます。PdMのマネージャーとして私がやるのは、会話の主語を“機能”から“成果の差分”へ戻すこと。本文は現場で頻発する5大誤診を、見分け方→直し方→コピペ素材の順にまとめました。
計測の並べ方(Aha→TTV→D1)はKPI設計と運用ガイドが最短です。
1. 誤診①「顧客の声=要望」:そのまま実装して迷子になる
ユーザーの言葉を“要望”として受け取り、そのまま機能に翻訳すると、Ahaに効かない実装が増えます。声は「困りごと→行動→文脈」に分解し、Aha(“できた”の一文)に変換してから設計へ。これで「何を増やすか」から「どの達成を最短で作るか」に会話が戻ります。
要点:声は要望でなく“行動の事実”/Ahaの一文に再定義/阻害(用語難/分岐過多/安心欠如)を仮説化/前後2週間で判定/非スコープを先に宣言。
具体例:「検索条件を増やしてほしい」という声は、実は“言葉がわからない”。用語置換+候補即表示でAhaが立ちました。
【声→Aha変換シート(コピペ可)】
声:◯◯を追加してほしい
事実:直近の行動は?そのとき何に迷った?
Aha:新規◯◯が「30秒で◯◯できた」
阻害:用語難/分岐過多/安心欠如
施策:説明2行/導線1本/候補即表示(1SP)
判定:Aha +◯pt / TTV中央値 -◯%(前後2週間)
まとめ:声はAhaへ翻訳してから、最小差し替え(1SP)に落とす。
2. 誤診②「PVや回遊が増えた=価値が出た」:数字が歩いているだけ
PVや回遊は“移動量”であって価値そのものではありません。価値はAhaの達成、速さはTTV、継続はD1。PVの話が先行すると、回遊導線やコンテンツ追加に流れがちです。価値線に直結する指標へ置き換え、回遊はNon-Goalに送るのが近道です。
要点:PVは代理のまた代理/価値線指標に置換(Aha/TTV中央値/D1)/回遊リンクは禁止(直着)/代理指標は“添えるだけ”/検証は前後比較の1枚。
具体例:トップの回遊施策を止め、成功トースト表示+再開カード固定に切り替えた週、D1が底上がりました。
【指標置換テンプレ(コピペ可)】
NG:回遊PV ↑
OK:Aha +◯pt / TTV中央値 -◯% / D1 +◯pt
運用:資料は直着・回遊禁止/代理=トースト閲覧率/問い合わせ率
まとめ:数字は“価値線”で語る。PVは最後に小さく添えるだけ。
3. 誤診③「平均TTVで見れば十分」:外れ値に振られて判断を誤る
平均TTVは分布に弱く、分岐残りや外れ値に引っ張られます。TTVは中央値と分布コメントをセットにし、対象は新規に限定。再開の速さは“再開TTV”で追うと議論が早まります。これで「速さの実感がない」が解消します。
要点:TTV=中央値+分布コメント/対象は新規セグメント/再開TTVを副指標に/時間短縮は“導線1本化/用語2行化”で当てる/判定は前後2週間。
具体例:平均では変化なし→中央値へ切替で“候補即表示”が効いていると判明、次手が自明になりました。
【イベント・計測最小セット(コピペ可)】
event: aha_reached, onboarding_flow_start/complete,
toast_success_shown/seen, resume_card_view/resume
metric: TTV_median↓, Aha↑, D1↑(副:resume_TTV↓)
注記:対象=new、期間=前後2週間、分布=箱ひげ/一言コメント
まとめ:速さは中央値で見る。分布の一言を必ず添える。
4. 誤診④「RICEが正義」:点数が議論を支配して価値線が消える
RICEは便利ですが、一次判定に使うと主観が混ざりやすい。まず価値線に効くかで粗く並べ、RICEは“最後の並び替え”に降格させます。施策は1SP(最小差し替え)に割り、Non-Goalと変更窓24hで膨張を止めます。
要点:一次判定=Aha/TTV/D1の価値線/RICEは最後/1SPへ分解/Non-Goal明記/変更窓でUI細部を後送。
具体例:高得点の“検索条件追加”より、“説明2行+導線1本化”が先行。Ahaが立ち、RICEは並び替えにだけ使いました。
【10分レビュー台本(コピペ可)】
結論:価値線=説明2行→導線1本→トースト(1SP×3)
論点:1) 分岐残り 2) 用語難 3) 再開導線
決定:今週=1SP×2、RICEは最後に整列
変更窓:UI細部は24h以内の軽微修正のみ
まとめ:RICEは“最後の整列機”。価値線で決め、点数で並べる。
5. 誤診⑤「ロードマップ=カレンダー」:予定が埋まるほど前に進まない
カレンダーに施策を詰めるほど、現場は“予定を守る”ことが目的になります。ロードマップは一枚で、Now/Next/Laterを価値線に沿って並べるのが正解。NowはAha直結、NextはTTV短縮、LaterはD1接続。日付は“締切”のみで十分です。
要点:一枚化(目的=達成の一文)/Now= Aha直結の1SP/Next= TTV短縮/Later= D1接続/締切とDecision先出し。
具体例:“通知強化月間”をやめ、Now=説明2行/導線1本化に切り替えた週から数字が立ちました。
<table class="table table-striped">
<thead><tr><th>段</th><th>施策(1SP)</th><th>効果(差分)</th><th>検証</th><th>締切</th></tr></thead>
<tbody>
<tr><td>Now</td><td>説明を2行に圧縮</td><td>Aha +◯pt</td><td>前後2週間+定性n=5</td><td>◯/◯ 18:00</td></tr>
<tr><td>Next</td><td>導線を1本化</td><td>TTV中央値 -◯%</td><td>同上</td><td>◯/◯ 18:00</td></tr>
<tr><td>Later</td><td>再開カードの固定化</td><td>D1 +◯pt</td><td>同上</td><td>◯/◯ 18:00</td></tr>
</tbody>
</table>
まとめ:予定ではなく“線”で並べる。ロードマップは一枚で十分。
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FAQ
- Q. 定量が弱い週はどう進める?
- A. 相対差分(+◯pt/-◯%)と中央値+代理指標(トースト閲覧率/問い合わせ率)で前後2週間の判定を回します。
- Q. 声に引っ張られるメンバーへの伝え方は?
- A. 声→行動→Ahaの変換表をそのまま使い、施策は1SPで提示。非スコープと撤退条件を先に言い切ります。
- Q. RICEに慣れた組織で抵抗が出ます。
- A. 一次判定は価値線、RICEは最後の整列——“役割の分離”として説明すると受け入れられやすいです。


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