価値提供型PdMの勝負は、Aha(価値に気づく瞬間)の“前”にあります。
ユーザーが「なるほど」と感じる前に、迷いや負担を感じて離脱する――。この“気づかれない不便”をなくす設計が、リテンション率を大きく左右します。
Aha前の摩擦とは何か?
摩擦とは、ユーザーが「やろうとしたのに進めない」瞬間のこと。
フォームが複雑、情報が多すぎる、言葉が伝わらない――これらは明確な障壁ですが、実は一番の敵は「何をすればいいか分からない」曖昧な状態です。
たとえば、SaaSの登録導線で「入力完了→すぐにAhaが見える」構造にできていないと、ユーザーは迷い、体験の前で止まります。Aha設計を考えるなら、まずは“摩擦の地図”を描くところから始めましょう。
摩擦を見つける3つの視点
- 行動データ:ステップごとの離脱率・クリックヒートマップ
- 行動ログ:クリック後の滞在時間・直後の動き
- 観察:実際に使ってもらい、眉間のシワ・ため息を観察する
特に重要なのは、定量と定性の「ズレ」です。数字では分からない迷いを、観察で補完します。
事例:会計SaaSでAha前の摩擦を削減
ある会計SaaSでは「Aha=自動仕訳が目で分かる」状態を定義していました。
しかし、登録時の選択項目が多く、初回利用者の7割がAha前に離脱。
分析の結果、“不要な設定を一括プリセット化”し、導線を3クリックに短縮。
その結果、Aha到達率は+8.4pt、次回活性(Dτ)は+3.1pt改善。
単なるUI最適化ではなく、「Aha前の心理摩擦を取り除く」ことが鍵だったのです。
摩擦削減の設計チェックリスト
- 「迷ったらこれ」という1択アクションがあるか
- 最初の3クリックで価値が“目で分かる”か
- 設定・チュートリアルがAhaを遅らせていないか
- UI外の摩擦(文章・メール・導線)も可視化されているか
まとめ: Aha体験はUIではなく心理設計です。
ユーザーが「これなら続けられそう」と思えた瞬間から、リテンションは始まっています。


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