結論:OKRは「価値(Aha)→速さ(TTV)→継続(翌日活性)」に言い換えるだけで、評価者と現場の両方に“通る目標”になります。
「OKRがフワッとして進まない」「レビューで刺さらない」――多くは“成果の翻訳ミス”です。本稿は、Objective/KRを先行指標にひもづけて書き換えるための言い換え集と、NG→OKの是正テンプレ、週次チェックイン用の台本まで一式で提供します。現場で即コピペできるよう、各H2にチェックリストやSlack文面を入れてあります。
意思決定と価値づくりの全体像は、課題解決型PdM 完全ガイド/価値提供型PdMの設計図から辿るのが最短です。
1. なぜ“言い換え”が必要か:OKRを価値の言語に翻訳する
OKRが空回りする最大の理由は、“作業の言語”で書かれているからです。レビュー側が見たいのは、誰にどんな価値をどれだけ早く届けて、翌日も使われたのか。つまり、Objectiveは「価値の形」を一文で言い切り、KRは“先行指標の差分”で測るべきです。作業(例:ページを作る)ではなく、価値(例:初回価値に30秒で到達)で語ると、合意も投資判断も速くなります。
要点:OKRは①価値の定義(Aha)→②到達速度(TTV)→③継続の兆し(翌日活性)の順で並べる/KRは“差分”で書く/代理指標(成功トースト閲覧率、問い合わせ率)を組み合わせて意思決定を短縮する/文言や導線の変更など開発ゼロの施策も“価値の因果”で評価される。
【チェックリスト:Objectiveが“価値の言語”になっているか】
- 主語は「ユーザーの達成」になっている(例:◯◯できた)
- 評価軸はAha/TTV/D1に接続している
- 検証の絵が浮かぶ(前後比較+定性5人)
- 作業名詞(実装・作成・対応)が先頭に来ていない
具体例:「チュートリアルを改善する」ではなく「30秒でAhaに到達したユーザー比率を+10pt」。この言い換えだけで、設計(分岐削減・文言2行化)と計測(前後2週間)が自動的に決まります。
まとめ:OKRは“価値の言語”に翻訳してはじめて速度が出ます。
2. Objectiveの言い換えテンプレ30:Aha/TTV/D1に直結させる
Objectiveは“方向”を決める一文です。ここが曖昧だと、KRが作業の羅列になります。以下は、Aha/TTV/D1それぞれに接続する言い換えテンプレ。領域に合わせて語尾だけ調整してください。全て「ユーザーの達成」視点で、検証の前後比較が浮かぶように作ってあります。
要点:Aha系は“最初の達成を短く明快に”/TTV系は“分岐削減・用語の簡素化”に寄せる/D1系は“再開導線・成功トースト・通知”をセットで語る/成果の転用(別機能・別セグメント)を最後にひとこと加えると合意が早い。
【Objective言い換えテンプレ(抜粋30)】
[Aha系]
- 初回体験で「◯◯できた」ユーザー比率を伸ばす
- Ahaに到達するまでの迷いを1つ削る
- Aha説明を2行+図解に置き換える
[TTV系]
- 初回価値への到達時間の中央値を短縮する
- 初回導線の分岐を1本に集約する
- 成功トーストで「達成感」を即時に提示する
[D1系]
- 翌日活性を押し上げる“再開導線”を設計する
- 通知の頻度/タイミングを最小で効果最大に最適化する
- 成功体験の継続を誘発するチェックリストを提示する
具体例:オンボーディング改善では「Aha説明を2行+図解に置換」→TTV短縮→D1改善の流れが定石。Objectiveは「30秒で“最初の価値”に到達した比率を伸ばす」で良いです。
まとめ:Objectiveは「誰が何を達成したか」を一文で固定します。
3. KRの言い換え:先行指標の“差分”で書く(OKRが動くKR集)
KRは“差分”で書けば自動的にアクションが決まります。ここではAha/TTV/D1に沿って、現場でそのまま使えるKRの言い換えをまとめます。代理指標も積極的に使い、学びを次施策へ接続します。重要なのは、アウトプット(例:ページ公開)ではなくアウトカム(例:TTV短縮/D1改善)であること。
要点:KPIを先行指標に寄せる/分母の揺れに注意(率と中央値の併用)/“前後2週間+定性5人”で検証する/数値が弱い領域は代理指標(ヘルプ閲覧率、成功トースト閲覧率、問い合わせ率)でつなぐ。
【KR言い換えテンプレ(抜粋)】
Aha:初回価値到達率 +10pt(前後2週)
TTV:中央値 -30%(初回導線に限定)
D1:翌日活性 +8pt(対象セグメント限定)
代理:成功トースト閲覧率 +15pt/ヘルプ→FAQ遷移率 -20%
副次:CS問い合わせ率 -25%(Aha関連)
具体例:「FAQを増やす」ではなく「問い合わせ率 -25%」。副次KPIとして設定し、Aha/TTV/D1と“因果”でつなげれば説得力が出ます。
まとめ:KRは“差分で測る”。アウトプットを書かないのがコツです。
4. 反パターン→是正テンプレ:NGをOKに翻訳する
OKRの“臭み”はパターン化されています。ここでは、よくあるNG表現を、価値の言語に翻訳する是正テンプレを並べます。会議前にこのリストでセルフチェックすると、レビューが一気に楽になります。
要点:作業名詞を排除/“わかりやすく”など主観語を定量化/範囲の曖昧さをセグメントで切る/検証設計を前後比較に寄せる。
【NG→OK 是正テンプレ】
NG:チュートリアルをわかりやすくする
OK:Aha到達率 +10pt/TTV中央値 -30%(説明2行化+導線1本)
NG:お問い合わせを減らす
OK:Aha関連の問い合わせ率 -25%(FAQ1問追加+ラベル導入)
NG:回遊性を上げる
OK:翌日活性 +8pt(再開導線のカード表示+成功トースト)
NG:UXを改善する
OK:初回操作の離脱率 -◯pt(用語の図解化+分岐削減)
具体例:「回遊性」→「翌日活性 +8pt」に翻訳するだけで、施策は“再開導線と成功トースト”に収束し、検証もシンプルになります。
まとめ:NGは“価値の差分”に置き換えると自然にOKRが走り出します。
5. 運用テンプレ:週次チェックイン台本と赤点灯時の手当て
OKRは“書いた後”が本番。週次のチェックインで仮説→施策→学びのループを回します。赤点灯(KR未達)が出たときは、原因の階層を分けて即時に手当てします。以下のSlack文面は、毎週の運用を破綻させないための最小フォーマットです。
要点:最初に結論(色)→次に学び→最後に次の一手/KRのズレは“計測/施策/仮説/外部要因”のどこかに分類/赤は“最小施策の差し替え”で当週中に打ち返す。
【Slack台本:週次チェックイン(コピペ可)】
件名:OKR週次チェックイン(W◯)
結論:Aha +6pt(緑)/ TTV -18%(黄)/ D1 +2pt(赤)
学び:説明2行化は効くが、導線分岐が残っている
次手:導線を1本化(所要1SP)、成功トーストを追加
決裁:PdM(◯/◯ 18:00〆)で実施可否
【赤点灯の原因切り分けチェック】
- 計測:分母のブレ/イベント漏れは?
- 施策:打ち手が“価値に直結”しているか?
- 仮説:阻害の見立てがズレていないか?
- 外部:季節性/リリースカットの影響は?
具体例:TTVが黄の週は「分岐1本化の遅れ」が原因。翌週の施策を“文言修正”から“導線整理”へ差し替えて、赤転落を防ぐのが定石です。
まとめ:週次は“結論→学び→次手”だけ。赤は当週で手当てします。
有料note(特典あり)
テンプレートをまとめて使うならこちら(特典PDF2点:PdMスキルテンプレ集/キャリア戦略シート)。
FAQ
- Q. 数値が取りにくい時のKRはどう書く?
- A. 代理指標(成功トースト閲覧率、問い合わせ率)で前後比較し、学びを次施策に接続。定性5人の短時間インタビューを添えれば十分に評価されます。
- Q. KRがアウトプット寄りになってしまいます。
- A. 「作成/実装」ではなく「Aha/TTV/D1の差分」で書き換えてください。OKRが自然に価値の因果へ寄ります。
- Q. 週次の運用で崩れがちです。
- A. Slack台本の“結論→学び→次手”を固定し、赤点灯は当週で手当て。変更窓を明記してスコープ膨張を防ぎます。


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