結論:翌日活性(D1)は「再開導線×通知×成功トースト」を最小構成でそろえるだけで伸びます。
「昨日は使ってくれたのに、今日は来ない」。この“継続の入口”を突破するのがD1です。ゼロから巨大な機能を作らずとも、初日に得た価値(Aha)へ“最短で戻れる”道を用意し、到達の速さ(TTV)を邪魔しない設計にすれば翌日再開は底上げできます。ここでは現場のマネージャー視点で、D1を伸ばす3点セットの設計型と、会議で通るテンプレを一式でまとめます。
価値の設計と短期運用の全体像は 課題解決型PdM 完全ガイド と 価値提供型PdMの設計図 が近道です。
1. D1とは何か:Aha→TTVの“次”に置く先行指標
翌日活性(D1)は「初日利用者のうち翌日に再開した割合」。短期の継続を映す“入口の強さ”で、週次・月次の維持率の先行シグナルになります。最初にやるべきは、Aha(初回価値)に再接続する“戻り口”を明確にし、TTV(価値到達時間)を邪魔しない導線を整えることです。D1は、プロダクトが“昨日の価値の続きを提示できたか”の指標。機能数ではなく、帰り道の良し悪しで決まります。
要点:①D1はAhaの“続き”を提示できるかの指標 ②TTVを短く保つ導線設計が前提 ③「昨日の続き」を1タップで再開できるUIが核 ④通知は抑制ルールとセットで初速を支える ⑤検証は前後2週間+簡易定性で十分。
【D1クイックチェック(5つ)】
- Ahaの“続きを1タップ再開”できるカード/ボタンがある
- 初回の文言/図解と翌日のUIが連続している(言語と見た目)
- 成功トースト(昨日の達成)が翌日の最初に見える
- 通知は「1通目で完結」し、既読/再開で自動抑制される
- 前後比較:D1/成功トースト閲覧率/再開までのTTVを計測
具体例:初日「タスク作成」がAhaのプロダクトで、翌日はホーム上部に「昨日のタスクを続ける」カードを固定表示。カードから再開すると“成功トーストで昨日の進捗”が出る設計にしたところ、通知一本+抑制でD1が持ち上がりました。
まとめ:D1は“昨日の価値の続きへ即時に戻せるか”で決まります。
2. 再開導線の設計:ホーム1枚で“続きを始める”
翌日の最初の画面で、ユーザーは「何をすれば続きを進められるか」を探します。ここに迷いがあるとD1はすぐ落ちます。最小構成は「再開カード(昨日の目的地へ直行)」「次の一手(1アクション提示)」「エラー時の退避(FAQ/ヘルプ1問)」の三点。カードは“過去の価値”ではなく“今日の価値の入口”として、1タップでAhaの続きに着地させます。
要点:①ホームの可視領域に固定 ②CTAは“続きの動詞”で短文化 ③進捗率・残り手数を数字で提示 ④失敗時のFAQリンクをカード内に内包 ⑤複数候補がある場合は「おすすめ1択」に寄せる。
【再開カード仕様(コピペ可)】
目的:昨日のAhaの続きを1タップで再開
構成:タイトル/進捗%/残り手数/主要CTA/サブ(FAQ)
文言:昨日の続き→今日のゴールまで◯手
遷移:カード→対象画面の“作業中”状態に直着
失敗:該当データなし→FAQ「最初にやること」へ退避
ガード:同カードは再開完了/◯時間経過で非表示
具体例:「資料作成」アプリでは、ホーム上部に「昨日のドラフトを開く(進捗60%)」を固定。CTAは「続きから再開」。再開完了でカードが消え“成功トースト”が出るだけでも、翌日活性が目に見えて改善します。
まとめ:D1の主役は通知ではなく“再開カード”。ホームの1枚で勝ちます。
3. 通知の実務:頻度・タイミング・抑制ルールを最初に決める
通知はD1の補助線です。押しすぎは逆効果、足りないと気づかれません。鍵は「1通で完結」「再開で自動抑制」「失敗時の退避」です。初期は“翌日午前の1通”に絞り、既読/再開/拒否の各イベントで次回送信を止める運用にします。文面は“昨日の価値→今日の一手→所要時間”の順で短く。リンク先は再開カードと同一にして、導線を一本化しましょう。
要点:①1日1通で開始 ②既読/再開で抑制 ③拒否ユーザーには一括停止 ④送信対象は“昨日Aha到達者”に限定 ⑤所要時間を明記してハードルを下げる。
【通知運用テンプレ(コピペ可)】
ポリシー:1日1通/翌日午前/再開で停止/拒否は即オプトアウト
対象:前日Aha到達者(直近◯日以内の新規優先)
文面:昨日の続き→今日のゴール(所要3分)
リンク:再開カードと同一の直着URL
抑制:既読/再開で停止、3日未達で自動停止
具体例:「チュートリアル2/3で離脱が多い」ケースでは、翌日午前に「あと1手で完了(1分)」の通知を1通だけ送付。再開で自動抑制し、押しすぎを防ぐ設計に。D1が改善し、副作用(通知離反)も抑えられました。
まとめ:通知は“1通+自動抑制”が初期の最適解です。
4. 成功トーストと進捗の見せ方:心理的な“前進感”を設計する
D1は心理の勝負でもあります。人は“前進感”が見えないと翌日やりません。成功トーストは、完了時だけでなく“再開直後”にも出すと効きます。内容は「昨日の達成→今日のゴール→所要時間」。進捗は“残り手数”で語ると軽く感じられ、再開の連続率が上がります。数字の提示は少なすぎても多すぎてもダメ。指先が止まらない最小情報を刻みます。
要点:①再開直後の成功トースト ②残り手数の提示 ③次アクションの1ボタン ④トースト閲覧率を副次KPIに ⑤視覚は“3カード/3段階”で段差を小さく。
【成功トースト仕様(コピペ可)】
表示:再開直後/完了時
文面:昨日の達成→今日のゴール(残り◯手/約◯分)
CTA:次の一手(1ボタン)
寿命:3秒/自動消滅、履歴から再表示可
計測:トースト閲覧率→D1の相関を確認
具体例:再開時に「昨日の下書きを読み込みました(残り2手/約1分)」と出すだけで、途中離脱が減り、翌日の再開も増えました。数値より“感触”の設計が効きます。
まとめ:“前進感”が可視化される瞬間を作るとD1は伸びます。
5. 検証の型:イベント設計と前後比較、そして簡易定性
D1の検証は難しくありません。イベントは「再開カード閲覧/クリック/到達」「成功トースト表示/閲覧」「通知既読/再開」を最低限として、前後2週間で比較すれば有意な差を掴めます。あわせて5人の簡易インタビューで“再開が楽になったか”を確認。ログと定性の両輪で、次の投資判断を早く回します。分母のブレが不安なら対象セグメント(新規/既存)で切り、中央値を使いましょう。
要点:①イベントは最小 ②D1/成功トースト閲覧率/再開までのTTVを主要指標に ③セグメント別に見る ④前後2週間+定性5人で十分 ⑤副作用(通知離反/FAQ遷移)は副次KPIで監視。
【PRD断片(コピペ可)】
非スコープ:全面改修/外部連携
目的:D1 +8pt、再開TTV -30%、成功トースト閲覧率 +15pt
解決:ホームに再開カード、再開直後に成功トースト、通知は1通+抑制
検証:前後2週間/新規セグメント中心/定性n=5
リスク:通知離反→頻度1通、既読/再開で停止、FAQ退避
具体例:イベントを増やしすぎて計測が破綻するチームは、まず上記3本柱に戻して前後比較だけに絞ると、学びが早く回り始めます。
まとめ:D1検証は“前後比較+定性”。イベントは最低限で十分です。
指標の並べ方は KPI設計と運用ガイド が手っ取り早いです。Aha/TTV→D1の因果をそろえれば、意思決定が一気に速くなります。
6. 合意形成を速める:Slack台本(決定権と期限を先に置く)
良い設計でも、合意が遅いとD1の改善は成果に結びません。合意文面は“決定権と期限を先出し→論点3つに絞る→変更窓を明記”で通します。小さく回すと決めて、結果で議論する。これがD1のスピード改善の鉄則です。以下のテンプレは、現場でそのまま貼って回せる最低限のフォーマットです。
要点:①件名に目的 ②Decisionを人名で明記 ③論点3つ ④変更窓24h ⑤検証期日を先に置く。
【Slack合意テンプレ(コピペ可)】
件名:D1改善の一次合意(再開カード/通知/成功トースト)
目的:翌日再開を底上げ(D1 +8pt)
論点:①ホーム再開カード ②通知1通+抑制 ③再開直後の成功トースト
検証:前後2週間+定性n=5(新規セグメント中心)
Decision:PdM(◯/◯ 18:00〆)
変更窓:合意後24hは軽微修正OK、それ以降は次スプリントへ
具体例:「通知はもっと送るべき」といった反対意見は、抑制ルールと検証期日をセットで提示すると、合意形成が速くなります。
まとめ:合意は“形式化”して速度を守るのがマネージャーの仕事です。
有料note(特典あり)
実務で使えるテンプレートは下記にまとまっています(特典PDF2点:PdMスキルテンプレ集/キャリア戦略シート)。
FAQ
- Q. 通知は何通から始めるのが良い?
- A. 初期は1通で十分です。既読/再開で自動抑制し、3日未達で停止。副作用(離反)を最小化してD1の純効果を見ます。
- Q. ホームに置くのはバナーでも良い?
- A. 推奨は“再開カード”。昨日のAhaの続きを1タップで開始し、進捗と残り手数を提示できるUIを固定表示します。
- Q. 計測イベントが多すぎて混乱します。
- A. 「再開カード→到達」「成功トースト閲覧」「通知既読/再開」の3本に絞り、前後2週間+定性5人で判断してください。


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