結論:PRDは「非スコープの先出し→G/W/T→Aha・TTV・翌日活性」で一枚にすれば、5分で“通るPRD”になります。
長いPRDほど合意が遅れます。評価者が見たいのは「誰にどんな価値をどれだけ早く届け、翌日に続くか」。本稿は、非スコープ宣言とG/W/T(Goal/Why/Trade-off)を軸に、Aha・TTV・D1に直結した“検証までの一枚化”をテンプレで示します。会議・ミニ課題・社内レビューのいずれでも使える実戦フォーマットです。
全体像の土台はここから把握できます。課題解決型PdM 完全ガイド/価値提供型PdMの設計図
1. 「価値で書く」PRD:非スコープを先に、価値の定義を短く
PRDを書く最初の一手は“盛らないこと”。最初に非スコープを置き、議論の的を絞ります。つぎに価値の定義=Aha(初回価値)を一文で言い切る。ここが曖昧だと、ゴールが仕様に引っ張られて迷走します。価値は「対象セグメントが◯◯できた」を主語に。これで会話が「何を作るか」から「なぜ今それを届けるか」に切り替わります。
要点:非スコープ先出しで論点を削る/Ahaは“ユーザーの達成”で定義/仕様は価値に対する仮説として最小限/レビューの所要時間を5〜10分に設定して短サイクル化。
【チェックリスト:PRDの冒頭に置く3行】
1) 非スコープ:今回は外すもの(例:外部連携/フル自動化)
2) Aha定義:対象ユーザーが「◯◯できた」状態
3) 成功基準:Aha到達率 +◯pt / TTV -◯% / D1 +◯pt
具体例:「オンボーディングの完了」ではなく「“30秒で最初の価値が体験できた”状態」をAhaと定義。説明を1枚図に置換し、余計な分岐を一つ外すだけで前進します。
まとめ:冒頭の3行で“何をしないか”“何が価値か”を固定すると、後ろが自然に絞れます。
2. G/W/Tの骨組み:Goal→Why→Trade-offを5分で通す
一次合意は“骨組みの速さ”で決まります。Goalは価値の形(Aha・TTV・D1)で、Whyは根拠(定性n=5+ログ)。Trade-offは“捨てる宣言”で意思決定を短縮します。骨組みが先にあると、仕様の詳細は後で足しても破綻しません。会議では、最初の30秒でGoal、1分でWhy、1分でTrade-offを話し切る運びにします。
要点:Goalを価値指標で言い切る/Whyはユーザー言語+イベントログ/Trade-offは「削るもの」を先に宣言/レビューは決定権と期限を明記。
【5分PRD台本(G/W/T:コピペ可)】
Goal:Aha到達率 +10pt、TTV中央値 -30%、D1 +8pt
Why:定性n=5とログで阻害=用語難/導線分岐を確認
Trade-off:説明量削減と導線1本化。外部連携は非スコープ
検証:前後2週間比較+簡易アンケート(所要:1SP)
決裁:PdM(◯/◯ 18:00〆)
具体例:“ヘルプ記事を増やす”ではなく“説明を2行に、分岐を1本に”。捨てた分は問い合わせ増をFAQ1問で吸収、と宣言すると合意が速いです。
まとめ:G/W/Tが固まれば、詳細は後ろから付け足しても崩れません。
3. Aha・TTV・翌日活性でKPI設計:検証計画は“前後比較+定性”
PRDは検証までがセットです。Ahaは“価値の発生”、TTVは“到達の速さ”、翌日活性は“継続の入口”。この三点で設計すると、機能の是非が事業価値につながります。計測は前後2週間+定性5人で十分。重要なのは“差分を出せる粒度”でKPIを置くこと。毎日の意思決定が短くなり、改善の連鎖がつくれます。
要点:Aha=達成、TTV=到達速度、D1=継続の兆し/計測粒度を前後比較に寄せる/代理指標(問い合わせ数、成功トースト閲覧率)も活用。
【KPI設計テンプレ(コピペ可)】
主要KPI:Aha到達率 / TTV中央値 / 翌日活性(D1)
副次KPI:問い合わせ率 / 成功トースト閲覧率 / CSAT短文
検証計画:前後2週間ログ+簡易定性(n=5)
具体例:オンボード3カード化で「成功トースト閲覧率→D1」の相関を確認。副次KPIを添えると、学びが次施策へつながります。
まとめ:KPIは“因果で並べる”。Aha→TTV→D1の順番が最短です。
KPIの並べ方はKPI設計と運用ガイド、ユーザーの声の取り方はユーザーインタビュー完全ガイドが近道です。
4. 合意形成とスコープ管理:Slack文面テンプレで“通す”
PRDが良くても、合意が取れないと実装が進みません。決定権と期限、反対意見の扱いを先に出すのがコツです。レビュー依頼は1スクショ+短文で、論点は3つまで。合意後の“変更窓”も明記して、スコープ膨張を防止します。
要点:件名で目的を宣言/Decisionを明記/反対意見の吸収枠をセット/変更窓の期限を切る。
【Slack合意テンプレ(コピペ可)】
件名:PRD一次合意依頼(Aha/TTV/D1の改善)
本文:目的=価値の到達を速くする。要点3つだけ共有
1) 非スコープ:外部連携/全面改修は除外
2) G/W/T:GoalはAha+10pt/TTV-30%/D1+8pt、Whyは定性+ログ、Trade-offは説明削減と導線1本化
3) 検証:前後2週間+簡易定性(n=5)
Decision:PdM(◯/◯ 18:00〆)。反対はコメントで、対案は1行で
変更窓:合意後24hは軽微修正OK、それ以降は次スプリントへ
具体例:「トンマナが…」などの意見は“軽微修正窓”に回し、本筋(価値と検証)を止めない運用にすると速度が落ちません。
まとめ:合意は“形式化”。テンプレで速度を守ります。
5. 例:オンボーディング改善PRD(一枚サンプル)
最後に、会議でそのまま出せる一枚PRDの例を示します。今回のテーマは“用語と導線の簡素化”。狙いはTTV短縮と翌日活性の押上げ。1SPで試せる“現実解”に落としています。
要点:Ahaを「30秒で最初の価値体験」に再定義/分岐削減と図解化に集中/検証は前後2週間+定性5人。
【PRD一枚(サンプル:コピペ可)】
非スコープ:外部連携/フル自動化/検索改善は除外
Aha定義:「30秒で◯◯が体験できた」
目的:Aha +10pt、TTV -30%、D1 +8pt
背景:初回導線の分岐と専門用語が離脱要因(定性n=5+ログ)
解決:導線1本化、用語を2行+図解、成功トーストを追加(所要1SP)
検証:前後2週間ログ+簡易定性(n=5)
リスク&対応:問い合わせ増→FAQ1問追加で吸収
Decision:PdM(◯/◯ 18:00〆)
具体例:公開後に「成功トースト閲覧率→翌日活性」の相関が見えれば、次スプリントで“再開導線”の強化に投資判断ができます。
まとめ:PRDは“価値が動く最短線”を一枚で示すドキュメントです。
有料note(特典あり)
実務で使えるテンプレートは下記にまとまっています(特典PDF2点:PdMスキルテンプレ集/キャリア戦略シート)。
FAQ
- Q. データが少ないときにKPIはどう置く?
- A. 前後比較と定性5人で十分。代理指標(問い合わせ率/成功トースト閲覧率)を添え、学びを次施策に転用します。
- Q. ステークホルダーが増えて合意が遅いです。
- A. 非スコープ先出し+G/W/T台本+“変更窓”のセットを導入。反対意見はトレードオフ節に吸収し、検証の期日で再判定します。
- Q. 仕様詳細はどこまで書くべき?
- A. 一次合意は骨子(価値・根拠・トレードオフ)に集中。詳細は別紙やタスク化で段階投入し、速度を落とさないのが鉄則です。


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