結論:エラー数の多さではなく、Aha到達率(%)→TTV→D1で「直すべき順番」を決めると成果が最短で出ます。
「とにかくエラーをゼロに!」――正義に見える合言葉が、しばしばビルドトラップの入口になります。私たちは“直した実感”に満足しやすく、いつの間にか「価値を運べたか」よりも「何件閉じたか」を追いがちです。だからこそ、この総括では“エラーの罠”から抜けるために、Aha%→TTV→D1という先行指標に紐づけて、直し方と順番を設計する方法を具体的に示します。会議で即使えるチェックリストとテンプレも添えました。今日から、修正が売上と継続に効く順に並び替えていきましょう。
なぜ「エラーの罠」に陥るのか
まず前提を揃えます。開発現場は、可視化しやすいもの(件数・SLA・チケットの色)が意志決定を乗っ取りやすい環境です。件数の多い軽微エラーを一掃すると達成感は高く、それ自体は悪ではありません。しかし、Aha到達前に離脱させる一点エラーや、購入直前のレイテンシなど、少数でも“重い”不具合は収益へ直撃します。ゆえに「量の多さ=優先度高」ではないのです。
要点:
- 人は「閉じた件数」で進捗を感じるため、価値起点が後景化しやすい。
- 少数でもAha前後を寸断するエラーは収益影響が大きい。
- “体験の連鎖”のどこで壊れているかを把握しないと、成果が出ない。
- 優先度は「件数×深刻度×到達フェーズへの影響」で決める。
コピペ素材(観点チェック)
・このエラーはAha前後のどこにある?
・このエラーを直すとAha%は何pt上がる見込み?
・購入直前のTTVに何秒効く?
・翌日活性(D1)に波及する仮説は?
まとめ:件数ベースの満足を捨て、「どの体験の継ぎ目を救うか」で順番を決める。例:購入ボタン押下後の500系1件>プロフィール編集の軽微UI崩れ20件。
Aha%→TTV→D1で“直し順”を決める
価値に直結する順番に整列します。最初にAha到達率(%)を守る。次にTTV(p50/p95)を短縮して“速く価値に触れる”を作る。最後に翌日活性(D1)を下支えする習慣阻害バグを消す――この順番が、売上や継続へ最短で効きます。
- Aha%:価値の“初回成立”を寸断するエラーから消す。
- TTV:購入やキーミッション達成までの摩擦を削る(レイテンシ・リトライ・迷い)。
- D1:翌日戻れる導線を壊す通知・保存・復帰系の不具合を抑える。
- いずれも「割合(%)やp50/p95」で語ると議論がブレない。
Aha→TTV→翌日活性の順で見ると意思決定が速くなります。詳しくはKPI設計と運用ガイドへ。
コピペ素材(優先度の口頭テンプレ)
「Aha%を +Xpt 見込めるバグAを最優先。次に購入導線のTTV p95を −Y秒 できるバグB。最後にD1改善見込みの通知系C。」
まとめ:Aha%→TTV→D1の順に“体験の継ぎ目”を塞ぐ。例:初回登録のメール検証遅延(TTV+20秒)より、認証リンク無効(Aha断絶)を先に直す。
重み付けフレーム:件数×深刻度×フェーズ影響
意思決定のスコア化で属人性を下げます。件数は“気になる”の指標にすぎず、深刻度(障害度・再発性・範囲)と、影響フェーズ(Aha前後・購入直前・復帰導線)を掛け合わせて優先度を出します。スコアが拮抗したら、TTV p95への効き(再現率の高い悪化)を優先します。
- 件数(1〜5)× 深刻度(1〜5)× 影響フェーズ重み(Aha=5/購入直前=4/D1=3/その他=1)。
- p95悪化を伴うものは+2補正(最悪体験の削減を重視)。
- 再発バグは+1(恒常的摩耗を早期遮断)。
- データ欠損系は将来分析不能を招くため+1。
コピペ素材(スコアシートの行定義)
ID / 事象 / フェーズ(Aha/TTV/D1/その他) / 件数(1-5) / 深刻度(1-5) / 影響重み(1-5) / p95補正(+2/0) / 再発(+1/0) / データ欠損(+1/0) / 合計 / 対応週
まとめ:数の多さに釣られず、フェーズ重みで並び替える。例:Aha直前のバリデーション抜け(3×3×5=45)>設定画面の文言ズレ(5×1×1=5)。
運用:週次の「並び替え会議」とリリース設計
“場当たり修正”をやめ、週次で並び替えるリズムを作ります。Aha%→TTV→D1の先行指標を冒頭5分で確認し、トップ3のエラーに集中。リリースはまとめず小刻みに出し、影響推定が外れたら即ロールバック・即再優先度付け。意思決定の透明性が、現場の学習速度を上げます。
- 週次MTGは30分:指標5分→トップ3の並び替え20分→担当アサイン5分。
- HotfixはAha断絶系のみ即時(SLA明文化)。
- リリースは小さく頻度高く、p95悪化なら即ロールバック基準。
- “直しても数字が動かない”時は仮説の前提を疑う(計測・ユーザー行動)。
コピペ素材(週次アジェンダ雛形)
1) 先行指標:Aha% / TTV p50・p95 / D1(先週対比)
2) トップ3エラーの再スコアリングと順序確定
3) 対応者・完了判定・ロールバック基準の確認
まとめ:頻度高い小リリース×先行指標の即時確認が学習を加速。例:購入直前のレイテンシ改善を先出し→p95が悪化なら即戻す。
会話と記録のテンプレ:意思決定を残す
議事録に「なぜその順番だったか」を残すだけで、未来の再発コストが下がります。言い切りの文章テンプレで、曖昧さをなくしましょう。
コピペ素材(意思決定テンプレ)
「今週はAha% +Xpt を最速で積むため、A(Aha直前の認証失敗)→B(購入導線のレイテンシ)→C(復帰導線の通知)で対応する。p95悪化時は即ロールバック。」
まとめ:言語化は再現性の起点。例:テンプレ化により、別チームでも同じ順序で“価値に効く修正”が選べる。
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FAQ
Q1:軽微エラーを一掃してから本丸に行くのはダメ?
A:ダメではありませんが順序を誤りがちです。Aha%を落とす一点不具合を先に潰し、TTVを短縮してから“軽微の山”に行く方が成果が早いです。
Q2:件数が少ないが重いエラーをどう説得する?
A:Aha%・TTV p95・D1への影響を数値仮説で示し、先行指標の改善見込みを言語化します。意思決定テンプレで記録し、週次で効果検証します。
Q3:指標が未整備のときは?
A:まずはAha定義と簡易計測から。次にTTV(p50/p95)とD1を“ざっくり”でも可視化。正確性より、順番を決めるための相対値が先です。
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