KPIで動かすチーム設計|“数字で追う”ではなく“数字で繋がる”実務ストーリー

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KPIで動かすチーム設計|“数字で追う”ではなく“数字で繋がる”実務ストーリー

「数字を追っているのに、成果が出ない。」
PdMをやっていると、誰もが一度は直面する壁です。KPIはある。ダッシュボードも整備されている。だが、会議が数字の“実況中継”で終わり、誰も行動を変えない──。

この状態を抜け出すには、「KPIを“測るもの”から、“語るもの”に変える」必要があります。この記事では、実際にチームが迷走したKPI運用をPdMがどう立て直したのかを、実務ストーリーとして紹介します。

1. KPIが“目的化”したチームに起きていたこと

プロダクトの定例で、毎週のように「CVRが下がった」「Dτが横ばい」と議論されていました。メンバーもそれぞれ分析を出してくるものの、どれも「数字を説明する」だけで終わっていたのです。

PdMである私はある日、ふと気づきました。
「誰も、“なぜこの数字を良くしたいのか”を話していない」──。

そこでまず着手したのは、“KPIの言葉そのもの”を見直すことでした。

  • CVR → 「初回体験で“すごい”と思った人の割合」
  • Dτ(翌日活性) → 「前日に“また使いたい”と思えた人の割合」

数字を“体験の翻訳”に変えると、会話が動き始めました。CSは「顧客が“すごい”と感じる瞬間はいつか」を語り、開発は「翌日も使いたくなる機能とは何か」を議論し始めたのです。

2. 実務ストーリー:チームが再び“繋がった”瞬間

このチーム再設計には、たった3つのルールを導入しました。

① 週次で「KPIのストーリー」を共有する

定例では、数字の報告をやめました。代わりに、「数字の裏にある行動変化」を語るようにしたのです。

「昨日のAha率が+3pt。フォーム改善もありますが、サクセスが“入力例”を追加してくれたのが大きいです」
「Dτが落ちた理由は、オンボの完了率より“続き通知”が切れていたことでした」

数字ではなく行動を語ることで、部署を越えた共感が生まれます。数字は“会話のきっかけ”にすぎない。ここから、チーム全体が「KPIに参加している」感覚を持ち始めました。

② KPIを「部門ごとの共通言語」にする

開発チームには“開発KPI”、CSには“サポートKPI”があり、どこか断絶しているのが普通です。そこで私は、共通KPIの定義表を作りました。

KPI:Aha率  
定義:ユーザーが「便利だ」と感じた瞬間を可視化  
共通理解:UI改善だけでなく、文面・導線・チュートリアルも含む  

この“共通理解”を文書化してSlackにピン留めしただけで、議論が深まりました。CSがUI議論に参加し、開発がチュートリアルの文面改善を提案してくるようになったのです。

③ 小さな成功をSlackで“見える化”する

もう一つ重要だったのが、“チームの成功を見える化”することです。

例えば、ある週のSlackにはこんな投稿が流れました。

Aha +2.8pt  
サクセスチームの「事例メール」文面を変更 → 翌週の初回起動率が改善!

数字を「誰かの努力と繋げて見せる」だけで、チームは劇的に前向きになります。
その結果、定例会での発言数は平均+40%、施策提案スピードは約2倍に。

3. 実践テンプレート:KPIで動くチームの作り方

ステップ1:KPIを“行動”で再定義する

良いKPIは、「測れるもの」ではなく「動かせるもの」。

たとえば「翌日開封率」ではなく「翌日続き起動率」に変えると、チームは「どうやってもう一度触ってもらうか」を考えるようになります。

ステップ2:各チームに“関与指標”を与える

全員が同じ数字を追っても意味がありません。
開発・CS・マーケ・営業、それぞれが「自分の手で動かせる数字」を持つべきです。

開発:TTV p95(最遅体験の短縮)  
CS:Dτ改善(翌日続きアクション)  
マーケ:Aha率(初回の体験到達)  
営業:有料転換率(価値実感から次のステップへ)  

ステップ3:定例は“数字の前提”を共有する場にする

数字を分析する場ではなく、「数字が生まれた前提」を共有する場に変えること。
数字の解釈が一致すれば、会話のスピードが倍になります。

4. まとめ:KPIは“測るもの”ではなく“繋ぐもの”

KPIはマネージャーだけのものではありません。チーム全員が「自分のKPI」を語れる状態こそ、最高の組織です。

数字を追うだけでは、誰も動かない。
でも、数字を“共通の物語”に変えれば、チームは自然と動き始めます。

──KPIは、チームを縛るものではなく、チームを繋ぐもの。
PdMの仕事は、それを“設計”することにあります。


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