結論:調査は「Aha%→TTV(p50/p95)→次回活性(Dτ)」の順に一本化し、アクセス/行動ログ→定量検証→定性深掘り→How決定の“一往復”で数字を作るのが最短です。
「まずアンケート」「まずヒアリング」から始めると、資料だけ増えて意思決定が止まりがち。先に“いま何が起きているか”を行動データで掴み、数で確かめ、最後に言葉で深掘る。この順番が迷いを消します。
1. アクセス/行動ログから仮説を立てる
Aha(価値に触れた瞬間)・TTV(価値到達までの時間)・Dτ(自然な利用間隔での次回活性)の3指標を縦に並べて、どこで詰まっているかを観察します。滞留・離脱・逆走(戻る)・未クリック/連打が赤旗です。
- ファネル:初回到達→Aha→続き行動(カード/設定)の落ち点
- p95:最悪体験の長さ。Aha前の摩擦源を特定
- セグメント:新規/再訪、モバイル/PC、週次/月次の差を見る
コピペ素材:
「仮説=Aha%が低い面/TTV p95が長い面/Dτが弱い面の“なぜ”」
具体例(B2B・経理SaaS):
Aha%は十分だがD30が弱い。
仮説(翌月の不安の中身)=①自動連携が月初に本当に走るか不安、②前月の例外処理ルールが持ち越されるか不明、③承認フローの締め日ズレでエラーにならないか心配、④会計科目マッピングやAPIトークンの有効期限切れが怖い。
この“具体的な不安”が仮説です。
2. 仮説検証のための“定量”調査設計
ここでの定量はアンケートに限らず、アプリ内一問・A/B・クイック集計を含む「数で確かめる手段」全般。目的は一点突破です。
- 先に宣言:今回動かす指標は Aha%/TTV(p50,p95)/Dτ のどれか
- 母集団:迷っている層を狙い撃ち(例:Aha未到達、初回後に再訪なし)
- アプリ内1問→送信後に推奨1アクション表示(行動に接続)
- アンケートは最大3問。自由記述は1問だけ
- A/Bは1点変更(不要項目削除/既定値プリセット/1択CTA)
コピペ素材:
【アプリ内1問テンプレ】「いまの不安はどれに近いですか?」
A:入力が面倒/B:何を押せばよいか不明/C:翌月も自動で回るか不安/D:承認・締めのズレが心配/E:その他
具体例:
CとDが合計57%→「翌月不安」が本命。A/Bで①オンボ終了時の“次月も自動化”予告、②月初の「自動処理開始」通知、③累積短縮時間の可視化をテスト。
3. 定性で“なぜ”を掘る:オープンクエスチョンで意味を確かめる
定量で方向が見えたら、定性で“なぜ”を具体化します。ここで重要なのがオープンクエスチョン(自由回答で語ってもらう問い)。選択肢で誘導せず、本人の言葉で「事実→感情→理想」を引き出します。意味は3つ:
① 数字の背後にある状況を再現できるようにするため、② 事業側の思い込みを外すため、③ 解決すべき“文脈”を特定してHowに直結させるため。
- 事実:最後にどこで止まったか、何を見て戻ったか、かかった時間
- 感情:「一番イヤだったのは何か」「なぜ不安に感じたか」
- 理想:「次回、どんな表示/タイミングなら迷わず進めるか」
オープンクエスチョン台本(コピペ可):
1) 直近で迷った瞬間を、覚えている範囲で「画面の順番」で教えてください。
2) そのとき何が不安でしたか? 一言でいうと「◯◯が分からない/怖い」など。
3) 次回、どんな表示(文言/証拠/タイミング)があれば迷わず進めますか?
具体例:
「予告がない」「証拠がない」「締め日のズレ例が分からない」という声が多数。
→ Howの条件:予告(言明)+証拠(実績/見込み)+ズレ吸収の説明を“Aha直後~月初”の間に配置。
4. Howを決めて“価値の続き”まで設計する
Howは機能の羅列ではなく、Aha→続き→Dτのストーリーで決めます。最小構成で出し、裏側は人力でも可。学習速度が本命です。
- 守り:Ahaを落とさない(Aha%は%表記で管理)
- 攻め:TTV p95赤旗を1つ潰す(不要項目削除/プリセット/1択CTA)
- 続き:Aha直後に“続きカード”を1枚(動詞×効用 15–30字)
- 通知:カードIDに紐づけ、τ前日or当日に1本だけ
- 判定:Dτ差分+Aha%/p95悪化なしを同時確認
続きカード文言テンプレ:
見出し「比較レポートを作る」/説明「先月との差を30秒で確認」/ボタン「比較レポートを生成」
Aha→TTV→次回活性(Dτ)の順で見ると意思決定が速くなります。詳しくはKPI設計と運用ガイドへ。
ケーススタディ:翌月“安心”でD30を押し上げた話
状況:初回は便利だが翌月に戻ってこない。Aha%は良、D30が弱い。
仮説:翌月の不安=自動連携が本当に走るか/例外ルールの持ち越し/締め日ズレのエラー/科目マッピング・API期限切れ。
定量:アプリ内1問で“迷いの理由”を計測→「翌月も自動で回るか不安」「締めズレが心配」が多数派。
定性:録画/インタビューで「予告がない」「証拠がない」「ズレ時の挙動が不明」を確認。
How:①オンボ終了時に“次月自動化を明言”、②月初に「自動処理開始」通知、③ダッシュボードに累積短縮時間と“例外0件/◯件”の実績、④締め日ズレのハンドリングをミニFAQで明示。
結果:Aha%維持/TTV変化なし/D30 +12pt、無料→有料転換 +2.3pt。
よくある落とし穴
- 恣意的な質問:事業側の“こうあってほしい”が設問/インタビューに混入。
→ 対策:事前知識がない人に向けて設計する前提で、オープン質問→具体化の順に。誘導文・専門用語の前提は排除。 - アンケートが長い:3問超は要再設計。自由記述は1問のみで分類軸を先に用意。
- 通知の乱発:「カードの影」として1本だけ。乱発はp95悪化を招く。
- p95悪化の見逃し:毎日見るのは Aha%/p50/p95/Dτ の4つだけに絞る。
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FAQ
Q1:定量と定性、どちらを先にやる?
A:基本は定量→定性。まず“どこで何が起きているか”を数で当て、定性で“なぜ”を掘ります。バイアスを避けるため、オープン質問から入り、本人の言葉で状況→感情→理想を引き出します。
Q2:アンケートは外部ツールが必要?
A:不要。アプリ内1問とA/Bで十分に学べます。送信後に推奨アクションを提示して行動に接続させるのがコツ。
Q3:毎日使われないツールはどう評価?
A:D1ではなくDτ(週次=D7、月次=D28/30)で評価。通知もτに同期し、1本に限定します。
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