エンジニアが「仕様がわからない」と言う本当の理由
「要件定義書(PRD)を書いたのに、エンジニアから何度も確認のSlackが来る」
「リリース直前になって『この挙動はどうするんですか?』と聞かれる」
「作った機能が、リリース後にどれくらい使われているのか誰も知らない」
もしあなたが今、このような状況に陥っているなら、それはあなたの能力不足ではありません。「ドキュメントの型(フォーマット)」が現場の実態に合っていないだけです。
私はこれまで、学歴もコネもない状態から、現場の叩き上げとして複数のプロダクトマネジメント(PdM)を経験してきました。
その中で痛感したのは、「美しいスライドよりも、泥臭く合意を取れる一枚のドキュメントの方が価値がある」ということです。
今回は、私が実際の現場で使い倒し、チームの共通言語として機能させてきた「実務用PRDテンプレート」と、それを使いこなすための思考法を公開します。
これは教科書的な理論ではありません。「明日から使える現場の記述ルール」です。
なぜ、あなたのPRDはエンジニアを迷わせるのか?
多くのPdMは、PRDに「機能の詳細」や「画面の遷移」を必死に書き込みます。
しかし、開発の現場においてエンジニアが最も知りたいのは、画面の配置よりも手前の情報です。
それは、「この機能によって、ユーザーの感情はどう動くのか?」という一点です。
ここが抜けたまま「ボタンの配置」だけを指示されると、エンジニアは「言われた通りには作るけど、これでいいのか?」という不安を抱えたまま実装に入ります。
その結果が、手戻りや確認コストの増大です。
【公開】現場で使っている「PRDミニテンプレ」の正体
私が現場で使用しているテンプレートは、非常にシンプルです。
何ページものドキュメントを書く必要はありません。以下の「3つの要素」さえ定義されていれば、エンジニアは自律的に動き出せます。
実際のテンプレート項目(特典より抜粋)
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1. Aha(初回価値)の定義
ユーザーが「できた!」「便利だ!」と感じる瞬間を、具体的な行動ベースで定義します。
例:求人詳細ページを見て、3分以内に「保存」ボタンを押す。 -
2. TTV(Time to Value)の短縮
そのAhaにたどり着くまでの時間を、どうやって短縮するか。
例:比較画面までのクリック数を3から1に減らす。 -
3. Specs(仕様と受入条件)
曖昧さを排除する「Gherkin記法」で記述します。
Given(前提)→ When(操作)→ Then(結果)
このフォーマットを使う最大のメリットは、「PdM自身が『なぜ作るのか』を言語化せざるを得なくなる」ことです。
Ahaが定義できない機能は、作る価値がない機能です。
このテンプレートを埋める作業自体が、プロダクトの価値を研ぎ澄ますプロセスになります。
「知っている」を「できる」に変える7日間
PRDの書き方を変えるだけでは、本質的な解決にはなりません。
PdMとしての「視座」と「日々の行動習慣」を変える必要があります。
そこで私は、新人PdMや伸び悩んでいるメンバー向けに、「PdM Skill Sprint 7」というトレーニングプログラムを作成しました。
これは、月曜日から日曜日まで、毎日異なるテーマで「PdMとしての筋肉」を鍛えるためのワークシートです。
- Day1:方向性を定義する日
「なんとなく」のタスク消化をやめ、その週のゴール(OutputではなくOutcome)を言語化します。 - Day2:仮説検証で前に進む日
机上の空論ではなく、小さく試してデータを取るための具体的なアクションを設計します。 - Day5:意図的にスキルを取りに行く日
日々の業務に忙殺されるのではなく、「今日はこのスキルを伸ばす」と決めて業務にあたります。 - Day7:振り返りと言語化で習慣を資産にする日
1週間の学びを形式知化し、自分の「型」として蓄積します。
このSprintを1周するだけで、目の前のタスクに追われるだけの状態から、「プロダクトの未来を作る」というPdM本来の動きへと強制的にシフトできます。
テンプレートとワークシートを手に入れる
今回ご紹介した「PRDミニテンプレ」や「Skill Sprint(7日分)」、そして「Slack運用ルール」などの実務資料は、すべてパッケージ化して配布しています。
これらは私が現在進行形で現場で使用しているものであり、読んですぐに使えるようにnotion形式で用意しています。
もしあなたが、
「自己流のやり方に限界を感じている」
「エンジニアともっと対等に議論したい」
「PdMとしての市場価値を上げたい」
そう本気で思っているなら、ぜひこの「型」を手に入れてください。
あなたの悩みは、能力の問題ではなく、単に「道具」を持っていなかっただけだと気づくはずです。
“アウトカムを出すPdM”へ──型と環境を揃えて先に進む
この記事のフレームは、現場で「TTV短縮」「Aha率改善」「社内評価向上」に効かせてきた型の一部です。
- 要件定義や検証が“なんとなく”進む
- 正しいと思うのに周囲が動かない
- 成果を言語化できず評価につながらない
Notionテンプレ+実務フレーム+7日Sprintですぐに動けるよう設計した資料はこちら:
基礎を固めたい方はこちら:
まとめ:ドキュメントは「作品」ではなく「武器」である
PdMの仕事は、美しいドキュメントを書くことではありません。
チームを動かし、ユーザーに価値(Aha)を届けることです。
しかし、武器(テンプレート)が錆びついていては、戦う前に消耗してしまいます。
自己流で悩み続ける時間を、ユーザーに向き合う時間に変えてください。
今回ご紹介したテンプレートが、あなたの現場を変えるきっかけになれば幸いです。


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