夜の会議室で、ダッシュボードはにぎやかなのに結論は出ない——「この数字、定義は何?」と誰かが言った瞬間、空気が止まる。あなたがPdMなら、一度は経験があるはずです。
結論:データマネジメントとは、「定義→記録→判断」を揃え、チームが同じ意味で数字を読み、5分で意思決定できる状態をつくることです。
- 1. そもそもデータマネジメントとは(ねらい→やること→効く場面)
- 2. なぜ必要?——PdMに起きている“3つのズレ”
- 3. 何をする?——最低限の“7要素”だけ覚える
- 4. 目的は“価値につなげる判断”——3つの先行指標で統一
- 5. まずはここから:1枚で回す「データ方針テンプレ」
- 6. 用語をそろえる:「定義カード」テンプレ(コピペOK)
- 7. 記録をそろえる:「イベント定義」ひな形
- 8. 品質を保つ:最低限の“3点セット”
- 9. ダッシュボードは“毎日4枚”だけ見る
- 10. 会議10分台本とSlack定型文(読み上げで運用できる)
- 11. 10日で始めるロードマップ(ゼロからでもOK)
- 12. よくあるQ&A(見えるFAQ)
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1. そもそもデータマネジメントとは(ねらい→やること→効く場面)
ここではむずかしい用語を外し、PdMが明日から動ける説明に絞ります。ねらいは意思決定の速度と再現性を上げること。やることは定義を決める→記録を揃える→品質を保つ→安全に使う→意思決定の場で使い切るの一連です。効く場面は、企画の優先順位、PRDレビュー、グロースの入替、採用面接の説明など「決める」全ての瞬間です。
価値づくりと意思決定の全体像は、課題解決型PdM 完全ガイド/価値提供型PdMの設計図に詳しくまとまっています。
2. なぜ必要?——PdMに起きている“3つのズレ”
導入の前に、よくある失敗から。どれか1つでも思い当たれば、データマネジメントは即効します。
- 定義のズレ:「アクティブ」の意味が人によって違う(閲覧≠価値)。
- 記録のズレ:イベント名や属性がバラバラで、数式が毎回違う。
- 判断のズレ:売上など遅行指標で週次の議論をし、時間が溶ける。
この3つを一気に解消する短い方法が、この記事の「型」です。
3. 何をする?——最低限の“7要素”だけ覚える
フルセットの理論は後でOK。PdMの現場でまず効くのは次の7つです。すべて「意思決定の場で使える形」に揃えます。
- ガバナンス:定義・基準・変更権限を決める(誰が何を決めるか)。
- メタデータ:用語や計算式の辞書(データ辞書/イベント定義)。
- 品質:欠損・重複・異常値の検知と“直し方”のルール。
- モデリング:イベントやテーブルの関係(ユーザー→行動→結果)。
- 統合:プロダクト内外のデータを“同じキー”でつなぐ。
- セキュリティ:最小権限/監査ログ/静穏時間などの基準。
- 可視化・利用:“毎日4枚”のダッシュボードと会議台本。
計測の並べ方は、KPI設計と運用ガイドの「Aha→TTV→翌日活性」の順が王道です。
4. 目的は“価値につなげる判断”——3つの先行指標で統一
データを見る理由は、価値を早く届けるため。PdMの短期意思決定では、次の先行指標で統一すると迷いません。
- Aha(初回価値)達成率:「価値が出た瞬間」が起きたユーザー比率。
- TTV(Time to Value):初回起動→Ahaまでの時間(P50/P95)。
- 翌日活性(D1):Aha後、翌日に“直行”で戻った比率。
売上やNPSは大事ですが遅行指標。週次会議からは外し、四半期で評価に回します。
5. まずはここから:1枚で回す「データ方針テンプレ」
大きな仕組みはいりません。PdMが今日から使える1枚テンプレを貼っておきます。これで「定義→記録→判断」がそろいます。
【データ方針(1枚テンプレ)】
目的:初回価値を30秒で体験させ、翌日“直行”を当たり前にする
先行指標:Aha達成率 / TTV P50・P95 / 翌日活性(直行率)
定義カード:用語・計算式・責任(RACI)・最終更新の1行表
イベント:save_success / resume_opened(直行) など
会議台本:10分(先行差分→撤退/継続/新規→次週)
撤退条件:Aha +Xpp未満 × TTV悪化 → 旧版へ戻す
6. 用語をそろえる:「定義カード」テンプレ(コピペOK)
“意味が通じるか”が全て。Notionやスプレッドシートでまずは20語から始めます。これだけで会議のストレスが消えます。
【定義カード(シート列)】
用語|説明(体験ベース)|計算式|イベント/列名|責任(RACI)|最終更新
Aha達成率|価値が明確に出た瞬間の経験率|count(distinct user_id where event=save_success)/count(distinct user_id)|save_success|PdM=R Data=A CS=C|2025-08-30
7. 記録をそろえる:「イベント定義」ひな形
イベント名が揺れると、ダッシュボードが壊れます。まずはAhaと翌日活性を“1イベントずつ”に集約しましょう。
【イベント定義(例)】
save_success:初回価値を得た瞬間(成功トースト表示)
resume_opened:前回の続きへ直行(翌日活性の母数)
first_open:初回起動のタイムスタンプ(TTVの始点)
8. 品質を保つ:最低限の“3点セット”
完全なデータレイクは要りません。まずは壊れない最低限のチェックでOKです。異常があれば“停止→直す→再開”の順で。
- 欠損:必須イベント(save_success/resume_opened)が0なら停止。
- 重複:同一ユーザーの連続save_successを1回に集約。
- 異常値:TTVがマイナス・極端な外れ値は除外。
9. ダッシュボードは“毎日4枚”だけ見る
見すぎは意思決定の敵。短期の会議はこの4枚で十分です。売上やNPSは四半期へ分離しましょう。
- Aha達成率
- TTV P50/P95
- 翌日活性(直行率)
- 新規比率(当日新規ユーザーの割合)
10. 会議10分台本とSlack定型文(読み上げで運用できる)
説明をやめ、判定に集中。全員で「差分→入替→撤退条件」を言い切ります。Slackはそのまま貼れる形式に。
【会議10分台本】
[00-02] 先週差分:Aha +pp / TTV −分 / 翌日活性 +pp
[02-05] PRDの変更点(非スコープ→G/W/T→KR)
[05-08] 入替宣言:撤退/継続/新規(各1行)
[08-10] 例外:法務/信頼性/計測基盤は別レーン
【Slack定型文】
今週はオンボーディングのTTV短縮に集中。
KR:Aha +5pp / TTV −2分 / 翌日活性 +4pp
撤退条件:Aha +3pp未満 × TTV悪化 → 旧版へロールバック
11. 10日で始めるロードマップ(ゼロからでもOK)
理想の全体設計は後回し。まずは“回る最小”を10日で形にします。チームの負荷は小さく、効果は大きいです。
- Day1-2:定義カード(20語)を作る
- Day3-4:Aha/TTV/D1のイベント計測を確認
- Day5:PRDを1枚化(非スコープ→G/W/T→KR)
- Day6-7:ダッシュボード“4枚”公開
- Day8:会議台本で初回運用
- Day9:撤退/継続/新規の入替ログ(5行)を記録
- Day10:課題と定義カードを更新→次週へ
12. よくあるQ&A(見えるFAQ)
- Q. まず何から?ツール選定が必要ですか?
- A. ツール選定は後回しでOK。まずは「定義カード」「イベント定義」「毎日4枚」の最小セットから。
- Q. 売上を毎週見ないと不安です。
- A. 週次は先行3指標だけ。売上は遅行なので四半期レビューで評価し、短期の議論からは外します。
- Q. 自分の現場に当てはめる自信がありません。
- A. 本文のテンプレをコピペでOK。Ahaの“定義1行”さえ決まれば、ダッシュボードと会議台本が回ります。
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