結論:良いPRDは「なぜ・何を・どう測る」を1枚で言い切り、Aha到達までの道を短くします。
「PRDは重い」と言われがちです。けれど、重いのは文章ではなく迷いです。章ごとに“見本テキスト”と“NG例”を置き、コピペできる雛形に落とし込めば、チームは早く合意し、手戻りは減ります。本稿は、目的/成功指標(Aha・TTV・D1)/スコープ/ユーザーストーリー/体験フロー/計測/リスクと検証/計画の8章を、明日から貼れる形で提供します。
1. 目的(Why):旗を一文で立てる
導入:目的が一文で立つと、議論の主語が揃います。曖昧さを残すと、各ロールの“正しさ”が衝突します。
- 見本:「法人管理者の初回登録を短縮し、離脱を抑えて有料契約率を高める。」
- 要点:対象/課題/事業価値の順で一文に。訴求先が明確になるからです。
- NG:「オンボーディングを改善する」…誰の何がどう良くなるのか不明。
2. 成功指標(What=価値の定義):Aha→TTV→D1
導入:指標は「結果を語るため」でなく「意思決定を速めるため」に置きます。平均だけだと遅い層が見えません。
- 見本:Aha=「初回のチーム作成完了(完了トースト表示)」
- 見本:TTV 目標=p50 3分/p95 7分(起点=view_entry、終点=achieve_aha)
- 見本:D1=Aha達成者の翌日再訪率 40%
- NG:Ahaを「満足度」など主観で書く。観測できず、学習が止まるためです。
Aha→TTV→翌日活性の順で見ると意思決定が速くなります。詳しくはKPI設計と運用ガイドへ。
3. スコープ(境界):Must/Should/Won’tで線を引く
導入:線が曖昧だと“善意の追加”で膨張します。先に線を引けば、TTV(特にp95)を守れます。
- 見本:Must=2ステップ化/完了トースト実装
- 見本:Should=住所自動補完(視覚負荷低減で代替可能)
- 見本:Won’t=SSO対応(初期のAhaに非直結。再審 10/XX週)
- NG:優先度を「高・中・低」だけで管理。議論が毎回リセットされるからです。
4. ユーザーストーリー(道筋):Aha逆算の三幕構成
導入:Ahaを先に置くと“枝”が自然に落ちます。INVESTはV/Tを重視し、I/Sはやり過ぎない。
- 見本:As a 初回管理者, I want to チームを作成, so that 成果を確認できる。
- AC:3クリック・3分・完了トーストで一意発火
- NG:便利機能を主語にする(例:自動補完を使いたい)。道が逸れます。
5. 体験フロー(入口→Aha):摩擦の3類型で短縮
導入:離脱は入力/待ち/理解に分解して潰します。順番を間違えると、手当が効きません。
- 見本:入口=招待リンク。最短経路=view→click→achieve
- 潰し方:入力は項目削減、待ちは非同期、理解は結果の先出し
- NG:フロー図を網羅で描く。Ahaへの直線がぼやけるからです。
6. 計測(ログ):Ahaの一意化とTTV分布
導入:数値が揺れる限り、合意は遅れます。UIの完了トーストに紐づけ、一意に発火させます。
- 見本:view_entry/click_primary_cta/achieve_aha/return_next_day
- 属性:segment/device/source(比較に使うものだけ)
- NG:平均だけで判断。p95の山が見えず、施策が当たりません。
7. リスクと検証:最も痛い失敗から潰す
導入:PFMEAを軽量化し、Impact×Likelihood×Detectabilityで優先付け。早い否定が最大の節約です。
- 見本:仮説「初回管理者は5分以内に完了できない」→βフラグでA/B検証
- 基準:Aha率≥__%、p95≤__分、D1≥__%
- NG:長期PoC一択。答えが遅いと、学習が止まります。
8. 計画(ゲート):MVP→β→GAの通し方
導入:ゲート条件が曖昧だと永遠に“開発中”。ゲートに指標を結び、誰が開けるかを明記します。
- 見本:MVP→Aha率30%/p95≤9分、β→Aha率35%/p95≤7分、GA→D1 40%
- 責任:各ゲートの決裁者を指名
- NG:日付だけで進行。品質が担保できません。
コピペ雛形:PRDテンプレ完全版(HTMLそのまま貼付)
【PRD v2.0(貼付用)】
1. 目的(一文):
2. 成功指標:Aha=__/TTV p50=__分 p95=__分/D1=__%
3. スコープ:
- Must:____
- Should:____
- Won’t(理由・再審日):____
4. ユーザーストーリー(最大3本)+AC(3クリック・3分・一意発火)
5. 体験フロー(入口→Aha/摩擦:入力・待ち・理解/潰し方)
6. 計測(イベント表・属性・QA一意性テスト)
7. リスクと検証(仮説→実験→合否→次アクション/RPN)
8. 計画(MVP→β→GAのゲート条件・責任者)
9. 履歴(v+0.1運用・更新日・変更理由)
NG例まとめ:読んだ瞬間に“危険信号”が出る文
- 目的が「改善する」「最適化する」で終わる(対象・価値が不明)
- Ahaが“入力完了”など価値の手前にある
- スコープが優先度ラベルのみ(Won’tの説明なし)
- ACが主観語(スムーズ・直感的)で数字が無い
- 計測が非同期起点でAhaが二重発火
会議台本:揉めずに入れるためのひと言
「今日はPRDの“旗と道”を言葉で固定します。
Ahaは◯◯、ゲートは『p95≤7分/D1≥40%』。この線を短くする提案だけを扱います。」
関連記事
FAQ
- Q. 章が多くて書くのが重いです。
- A. まず“骨”を10分で置き、会議で肉付けします。完璧主義はTTVを悪化させます。
- Q. 便利機能の要求が止まりません。
- A. スコープ票でWon’tへ退避し、再審日と理由を公開してください。期待管理が効きます。
- Q. ダッシュボードが騒がしいです。
- A. Ahaの一意化とp95アラート(目標+20%)の2点に絞ると、毎朝5分で判断できます。
▼有料note(直リンク)


コメント