ユーザーインタビュー完全ガイド|ジュニアPdMのための質問設計・台本・失敗回避
「また“なんとなく良さそう”で終わった…」。ジュニアPdMあるあるです。私も最初は、インタビューが“雑談”になり、意思決定につながらないことが多かった。転機は、Aha体験とTTV(Time to Value)を先行指標として設計し、質問を“仮説検証の部品”に落とし込んだこと。会議の温度が一変し、開発やCSとの会話が「思い込み」から「事実ベース」に切り替わりました。
この記事は、未経験〜ジュニアPdMが今日から使える台本・チェックリスト・失敗回避の型をまとめた一枚モノです。まずは現場で5本、回してみてください。初回価値到達率(Aha/初回活性)やTTVの短縮に効きます。
1. 目的設計:先行指標から逆算する
いきなり質問を作る前に、まず“何を動かしたいか”をはっきりさせます。狙いは、遅行指標(売上、継続率)ではなく先行指標(Aha到達、主要機能活用率、翌日活性)。ここを動かす仮説を持ってインタビューに臨むと、後の意思決定が速くなります。
- ねらい:Aha体験の到達率とTTVを設計し、摩擦点の特定に結びつける。
- やり方:「ターゲット×コンテキスト×行動」の仮説を1枚に。例:“新規ユーザー×通勤中×スマホ片手に初回設定→この3分でつまずく”。
- よくある失敗と直し方:目的が「広く意見を聞く」になりがち→先行指標に紐づく問いへ書き換える(例:「初回設定で一番時間がかかったのは?」)。
2. 募集とアポ取り:コピペで使える文面
募集文面は“研究協力”ではなく、“あなたの時間価値を尊重する短時間の相談”として伝えると反応率が上がります。以下はSlack/メールでそのまま使えるテンプレです。
【ご相談】5〜10分だけ、使いづらかった瞬間を教えてください はじめまして。◯◯機能の改善を担当しているPdMです。 初回利用の「つまずき」を直したく、使ってみた時の正直な感想を伺いたいです。 ・所要時間:5〜10分(オンライン) ・お願いしたいこと:つまずいた瞬間/迷った文言を教えてください ご協力いただける方は、このメッセージに「OK」とだけ返信ください。日程候補をお送りします。
3. 質問設計:観察→具体→抽象の順
リストの前に一言。良い質問は、“なぜ”の連鎖ではなく“事実→感情→理由→代替行動”の順で掘ります。いきなり価値判断に飛ばないのがコツです。
- ねらい:行動の文脈(トリガー・制約・代替)を再現性高く抽出する。
- やり方:まずは“いつ・どこで・何をした”の観察事実→次に“どう感じた”の感情→最後に“なぜそうした”の理由。
- 失敗と直し方:「この機能、どう思いますか?」はNG→具体的な瞬間を切り出す(「登録の最後、住所入力で手が止まった瞬間はありましたか?」)。
質問台本(5〜15分用・抜粋/コピペ可)
0) アイスブレイク(1分) ・今日は「最初につまずく瞬間」を一緒に探したいです。思ったことをそのまま教えてください。 1) 直近の行動の再現(3分) ・最初に使ったのはいつ・どこ・何で(PC/スマホ)でしたか? ・その時、何を達成したくて、どこまで進みましたか? 2) つまずきの具体(5分) ・時間がかかったステップはどこでしたか?(UIを見せながら指差し) ・どの文言が分かりにくかったですか?言い換えるとしたら? 3) 代替と回避行動(3分) ・その時、やめる・後回しにする・他サービスを使うなど、検討しましたか?なぜ? 4) 理想の最短ルート(2分) ・もし1つだけ変えられるなら、どこをどう変えますか?
4. 記録と同意:軽量でも“守り”を外さない
- ねらい:チームで再現できる形で共有し、倫理・同意を守る。
- やり方:事前に録画可否、匿名化の扱いを一言で確認。議事は“発言ログ”ではなくインサイトカード(気づき・証拠・示唆)で整理。
- 失敗と直し方:録画に固執して雰囲気を固くする→画面共有のみで緩めに始める。要所はスクショとメモで十分。
5. 分析の型:インサイト→意思決定のワンストローク
インサイトは「気づきで終わらせない」。“インサイト → 施策仮説 → 期待する先行指標の変化 → 計測方法”を1行で束ねます(会議でコピーして貼るだけでOK)。
【インサイト】住所入力で郵便番号が分からず入力をやめる人が多い 【施策仮説】郵便番号検索を先に表示 + デフォルトでキーボードを数字に 【指標変化】初回設定完了率 +8pt、初回TTV -30% 【計測方法】Step別完了率(イベント)/入力時間(ms)
6. よくある失敗と直し方(現場あるある)
- 「母集団が偏る」:声の大きいユーザーだけを取りがち→直し方:新規・休眠・解約予備軍の三層サンプリングで週ごとに回す。
- 「解釈が先に立つ」:“きっと◯◯だから”で質問する→直し方:観察事実→感情→理由の順守。
- 「改善が重い」:結論が“ページ全面改修”になりがち→直し方:コピー/順序/省略の軽量三段階で小さく当てる。
7. チェックリスト(実施前後/貼って使う)
- □ 先行指標(Aha/TTV/翌日活性)と検証仮説を1行で言える
- □ 募集文面をテンプレ化し、5〜10分の“短距離走”にする
- □ 質問は「観察→具体→抽象」。価値判断は最後
- □ インサイトは「施策仮説・期待変化・計測方法」とセット
- □ 来週の改善リリースが1つ決まっている
8. 現場スニペット集(コピペOK)
◆ リクルーティング返信テンプレ
ご協力ありがとうございます!5〜10分で以下をお伺いします。 (1) 初回利用の環境(いつ・どこ・端末) (2) つまずいた瞬間(UIや文言) (3) 代替や回避行動 差し支えなければ録画(画面のみ)を有効にします。日程は◯/◯(火) 12:15 or 18:00、他ご希望あれば調整します。
◆ PRD断片(受入基準の書き方ミニ)
【受入基準(Excerpt)】 - 住所入力ステップの開始→完了の平均時間が 40% 短縮されている - 郵便番号未入力での離脱率が 50% 減少している - モバイルで数字キーボードが自動表示される
◆ インタビュー後のSlack共有フォーマット
#insight-◯◯ ・ユーザー像:新規/スマホ/通勤中 ・事実:住所入力で郵便番号に時間→面倒で後回し ・示唆:検索導線を先頭に/数字キーボード ・Next:今週中にコピー修正→A/B/指標:初回完了率・入力時間
9. 関連コンテンツ(内部リンク)
インタビューの“発見”をプロダクトの“変化”へ繋げるために、次の実践記事もセットでどうぞ。
- オンボーディング設計とTTV短縮の完全ガイド|ジュニアPdMが最速で“最初の価値”に連れていく方法
- MVP検証設計(BtoBtoC向け)完全ガイド|“最小の学習コスト”で不確実性を崩す方法
- PdMが最初につまずく「要件定義」の壁:未経験でも乗り越えるための実践ガイド
- プロダクトのロードマップ作成に悩むジュニアPdMへ:基礎から実践まで
10. まとめ:5本回せば、会議が変わる
インタビューは“重い儀式”ではなく、意思決定を速く・軽くする日常運用です。先行指標を握って、短時間インタビューを5本回す。1週間後、会議での言葉が「多分」から「事実だから」に変わります。まずは、募集文面を1つ送ってみてください。
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