結論:稼働率100%は“進んでいるようで遅い”。価値は「Aha到達率(%)」で増えるのであって、手を動かした時間では増えません。
「空きがあるのはもったいない」——その一言から、組織は静かにビルドトラップへ滑ります。全員が常時フル稼働、チケットは消えるのに、Aha到達率は増えない。理由は、検証・救済・やり直しの余白を潰すとTTV(p50/p95)が伸び、D1(%)が下がるからです。本稿は、稼働率主義をやめてAha到達率(%)・TTV・D1で回すための運用テンプレと、会話の言い換えをまとめます。
1. 何が起きるか:100%稼働は“やり直しの列”を作る
導入:全員満席だと、仕様の戻し・軽量検証・p95救済が差し込めません。それは結果的に、Ahaに届かない施策が通過し、翌週に“戻し列”が生まれるからです。戻しは可視化されにくく、稼働率は高いのに成果が静か、という矛盾が固定化します。
要点:①軽量検証の欠落(仮説の粗さが残る)②p95救済の遅延(詰まり層を放置)③仕様の再開コスト増(文脈ロス)④優先の逆転(空いている人に流す運用)。これらはすべてAha到達率の頭打ちとして現れます。
【コピペ:症状チェック】
□ “空いている人”基準でタスクを配っている
□ p95救済(詰まり層対策)のスロットが無い
□ 週次で“戻し”が当たり前
□ Aha到達率が横ばいなのに件数報告だけ増える
まとめ:100%稼働は「詰まりの先送り装置」。
具体例:フル稼働から「検証・救済・余白20%」へ切替えた翌月、Aha到達率+8pt、TTV p95 −140秒。
2. なぜ遅くなるか:“並列の幸福”と“直列の地獄”
導入:並列に多く動くと心理的には安心します。しかし価値は直列でしか届きません。つまり、Aha(%)→TTV→D1の順に進む一本の線。途中で速さが落ちるのは、準備と救済の余白が削られたからです。
要点:①直列の律速段階はp95(遅い人)②検証欠落は誤配(誤った方向への最速)③再開の切替コスト(WIP過多)④“成功件数”の錯覚(Out→Outcomeの取り違え)。このメカニズムが、稼働率と成果の逆相関を生みます。
【コピペ:言い換えミニ辞書】
・“埋める”→“Aha%を上げる余白を確保する”
・“スキマに差し込む”→“順番票の『今やる3つ』に入っていない”
・“頑張り”→“ΔAha% / Δp95 / ΔD1”
まとめ:直列の律速はp95。
具体例:WIP(仕掛り)上限を3に固定→切替ロスが減り、D1 +5pt。
3. 抜け方:Aha(%)・TTV・D1で“余白を先に設計する”
導入:フル稼働をやめるのは勇気が要ります。だからこそ、数字の条文で守ります。「計画稼働は80%上限、20%は検証・救済・改善の予約枠」を台本に刻み、Aha(%)・TTV・D1で評価します。
要点:①検証枠(軽量AB/定性速球)②p95救済枠(詰まり層のUI・導線)③改善枠(削除・リネーム・順番最適化)④緊急枠(障害/外乱)。“予約された余白”が、Ahaの伸びしろになります。
【コピペ:運用条文(貼るだけ)】
・計画稼働=80%上限(残20%は予約済み)
・評価はΔAha% / ΔTTV p95 / ΔD1で行う(件数で称賛しない)
・p95>目標+20%で救済枠を即時消化
・WIP上限=3(個人/チーム)
まとめ:“余白”はコストではなく性能。
具体例:予約枠導入で“差し込み”が消え、TTV p95 −120秒、Aha到達率 +6pt。
4. 会議:読み上げ→仕分け→基準→日付(30分台本)
導入:フル稼働の現場は、会議が説明で終わります。そこで台本を固定し、余白を守り切ります。
要点:最初の5分で旗(対象・価値・数)を音読、10分で順番票(今やる3つ)確定、10分で受入基準(クリック・時間・観測)読み合わせ、最後の5分でゲート日と担当に書き込み。余白の20%は“削れない項目”として読み上げます。
【コピペ:週次30分台本(余白版)】
00-05 旗(Aha% / TTV p50/p95 / D1)+余白20%を確認
05-15 順番票で「今やる3つ」確定(後で/今回はやらないも明記)
15-25 受入基準を条文化(p95救済の具体UIを一行で)
25-30 判定日・担当・決裁ログ(1枚)更新
まとめ:余白は“読み上げて守る”。
具体例:余白の読み上げを始めた週、持ち越しが半減、D1 +4pt。
5. 設計:ダッシュボードは“4タイル+余白”に固定
導入:数字が多いほど余白は消えます。ダッシュボードは4枚(Aha%/TTV p50/p95/D1/離脱Top3)に加え、「余白20%の消化状況」を1行だけ表示します。
要点:Ahaは昨日/7日移動、TTVはp95の+20%でアラート、D1は分母=前日Aha達成者、離脱はerror/wait_over_5s/no_candidateの3分類。「余白消化」は検証・救済・改善それぞれの比率だけを示すミニ指標に留めます。
【コピペ:4タイル定義+1行】
・Aha到達率(昨日/7日)
・TTV p50/p95(warn: p95>目標+20%)
・D1(分母=前日Aha達成者)
・離脱Top3(error / wait_over_5s / no_candidate)
・余白消化(検証_% / 救済_% / 改善_%)
まとめ:見るものを減らして、守るべきを増やす。
具体例:余白の可視化で“埋め仕事”が消え、Aha到達率 +7pt。
u-note:意思決定の順路を固定する
Aha→TTV→翌日活性の順で見ると意思決定が速くなります。詳しくはKPI設計と運用ガイドへ。
6. 配布セット:順番票・受入基準・評価票(稼働率の罠対策)
導入:仕組みは軽く、言葉はやさしく。配布して貼るだけで回る3点セットを置きます。
【順番票(余白版)】
今やる:Aha%直結 / p95短縮 / D1上昇 の3つ
後でやる:準備・改善
今回はやらない:再審_週
【受入基準】
・Aha到達率 __%以上(昨日/7日)
・TTV p50≤3分 / p95≤7分
・D1 __%以上(分母=前日Aha達成者)
【評価票(Δで見る)】
成果:ΔAha% / ΔTTV p95 / ΔD1
証跡:前後スクショ・ログ・決裁ノート(1枚)
まとめ:余白を設計し、Δで称賛する。
具体例:評価をΔに統一後、施策件数−12%でもAha到達率+10pt。
関連記事
FAQ
- Q. 空き時間を作ると“遅い”と言われませんか?
- A. 「余白=Aha%の伸びしろ」と定義してください。ΔAha% / Δp95 / ΔD1で評価すれば、感覚論は収まります。
- Q. 緊急対応で余白が常に消えます。
- A. 余白の内訳を「検証/救済/改善/緊急」に分け、緊急比率が閾値超なら順番票を即更新します。
- Q. 人員が少なく余白が取れません。
- A. WIP上限とp95救済の固定だけでも効果が出ます。まず“戻し列”を消すことを最優先に。
▼有料note(直リンク)


コメント