沈黙を恐れない1on1|“考える時間”を渡すマネジメント
みなさんはどのような1on1をメンバーとしていますか?
話を途切れないように日常会話ばかりの方や、案件・タスクのことばかりの方はいませんか。
時に沈黙は、考える時間となります。 多くのマネージャーは、沈黙が訪れた瞬間に「何か言わなければ」と焦ります。けれど、その数秒こそがメンバーの“自分の頭で考える時間”です。沈黙を恐れず、問いを投げたあとに待てるかどうか——そこにマネージャーとしての成熟度が表れます。
沈黙が怖いのはなぜか
沈黙が怖い理由はシンプルです。「気まずさ」「生産性の低下」「時間の無駄」などと感じてしまうからです。しかし、1on1における沈黙は“停滞”ではなく“思考の発芽”です。特に、メンバーが言語化力を伸ばす過程では、この沈黙を待てるかどうかで成長速度が変わります。
実例①:5秒の沈黙が自走のきっかけに
ある若手PdMとの1on1で、「なぜそのKPIを優先したの?」と問いを投げたところ、すぐに答えが返ってきませんでした。以前なら補足してしまっていたところを、今回は5秒だけ待ちました。彼は深呼吸してからこう言いました。
「あ、そうか。自分が扱いやすい指標を選んでただけでしたね。」
沈黙の5秒が、自己認識の転換点になった瞬間でした。
沈黙を活かす3つの技法
沈黙を“育てる”時間に変えるには、3つのポイントがあります。
- 問いの質:Yes/Noではなく、Why/Howを聞く。「なぜそう考えたのか?」をベースに。
- 待つ姿勢:相手の表情を観察し、口を開きそうな瞬間まで我慢する。
- 返しの設計:答えを評価せず、「なるほど」「その背景をもう少し教えて」など思考を深める返しにする。
実例②:沈黙を受け入れたチームの変化
1on1で“待てる文化”を浸透させたチームでは、会議中の発言率が上がりました。以前は「正解を言わなきゃ」という空気が強く、沈黙を恐れて早口で話す人が多かったのですが、今では沈黙が訪れると誰かが「ちょっと考えていいですか?」と言える環境に変わりました。
任せる=待てる。放任ではなく“支援の構え”
任せるとは放任ではありません。PdMは、メンバーが迷ったときに戻ってこられる「支援の構え」を持つ必要があります。沈黙を受け止めながら、メンバーの視点を少しずつ引き上げるのです。
沈黙を待つことが必ずしも正解ではない
中には、沈黙して本当に何も答えられないメンバーもいます。それは「関係性がまだ十分に築けていない」「抱えている案件の難易度が高すぎる」「経験値が足りない」といった要因が重なっている場合がほとんどです。
マネージャーとして重要なのは、沈黙そのものの意味を見抜くことです。
“考えている沈黙”なのか、“詰まっている沈黙”なのかを区別し、後者の場合は支援に切り替える柔軟さが求められます。
実例①:案件の複雑性が原因だったケース
あるメンバーは、質問をしてもいつも黙り込んでしまうタイプでした。実際に掘り下げてみると、進行中のプロジェクトが複数部門にまたがる非常に複雑なもので、彼自身が「どこから話していいか分からない」状態だったのです。
この場合、マネージャーが沈黙を待つよりも、「いま頭の中をそのまま話してみようか」と助け舟を出し、整理を一緒に進めることが効果的でした。
実例②:関係性が未成熟なケース
入社間もないメンバーとの1on1で、こちらが待っても一言も返ってこない。実は「失敗を責められるのでは」という不安が根底にありました。
このときは“答えを求める”のではなく、“気持ちをほぐす”方向に舵を切り、「最近どう?」という雑談から始めて距離を縮めました。3回目の1on1からは、自分の課題を自然と話してくれるようになりました。
実例③:経験値が足りず答えが出ないケース
新卒メンバーが「次に何をすればいいか分かりません」と言ったとき、黙って待つだけでは苦しませるだけです。この場合は、「じゃあ3つぐらい選択肢を一緒に出してみようか」と問いを変え、“考える型”を見せてあげることが支援になります。
実例④:沈黙のあとに出てきた“自分ごと化”
オンボーディング中の新メンバーが「全然うまくいかないです」と落ち込んでいたとき。あえて何も言わず、3秒ほど沈黙しました。
彼は小声で「でも、こうやれば良かったかも」と続けました。その瞬間、彼の中で“他責”が“自責”に変わりました。
沈黙が自分ごと意識を引き出した例です。
マネージャーに求められる“沈黙の耐性”
沈黙を待つのは勇気がいります。沈黙を恐れず、メンバーが考える時間を守ること。それは「相手を信頼する」という最も強いサインです。信頼を積み重ねた1on1は、会話ではなく“共に考える時間”に変わります。
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