「感覚」と「データ」、どちらも欠けるとプロダクトは迷走します。
PdMが率いるチームでは、感覚的な気づきをデータで補強し、データの違和感を感覚で探る——この循環こそが“価値を作る”プロセスの核心です。
定性と定量は補完関係にある
多くのチームで起こるのは、定量(GA4・DB)と定性(ユーザーインタビュー)が別々に走っていること。
この分断を埋める第一歩は「どちらを起点に仮説を立てるか」を明確にすることです。
- 定量起点:数値の異常や変化を観測し、背景を定性で探る。
- 定性起点:ユーザーの声や行動からパターンを見つけ、定量で再現性を確認。
つまり、PdMの役割は両者を往復させて“再現性のある学び”を作ることにあります。
実例:チームでの統合サイクル
たとえば、あるBtoB SaaSで「Aha率は高いが翌月利用が低い」という課題がありました。
データを見れば、初回のTTVは早い。だが継続率は落ちる。
定性調査では、「翌月の締め作業で“設定を忘れる”」という声が頻出。
チームは次の統合フレームで動きました:
Step1. 定量観測:Aha +12pt だが Dτ -8pt Step2. 定性探索:翌月操作の不安・記憶負担がネック Step3. 仮説立案:「再確認できる仕組み」を入れる Step4. 実験実施:「前回設定を引き継ぐ」UIを実装 Step5. 結果確認:Dτ +6.4pt、再設定率 -48%
このように、定量→定性→仮説→検証の“チームサイクル”を週単位で回すと、
施策が属人化せず、データと現場のバランスが保たれます。
チームで統合するための仕組み
PdMが一人でこのサイクルを回すのは現実的ではありません。
チームで動くためには、構造化された仕組みが必要です。
- 週次レビュー:各担当が気づきをカード化し、5分共有。
- 仮説ボード:「なぜそう思うか」「どう検証するか」をペアで記入。
- 検証会議:数値・行動ログ・CSの声を同列で議論。
この構造化があるだけで、議論が「思い込み」から「事実ベース」へと進化します。
よくある落とし穴
定性と定量をうまく統合できないチームの多くは、次のいずれかに陥っています。
- データが目的化して「数字を上げるための議論」になっている。
- ユーザーの声が重くなりすぎて「一部の声」に引っ張られる。
- 検証結果の記録が残らず、同じ議論を繰り返す。
これを防ぐには、「1施策=1仮説=1学び」として蓄積することが効果的です。
まとめ
データは“過去の結果”、定性は“未来の兆し”。
両者を往復しながら、チーム全体で意思決定を磨いていくことが、PdMチームの最大の武器です。


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