結論:KPIは「追うもの」ではなく「見るもの」。数字は、価値提供の裏側にある“変化の兆し”を映す鏡です。
多くのPdMがKPIを掲げながら、数字の意味を読み違えてしまうのは、“計測の文脈”を設計していないからです。今回は、Aha→TTV→Dτという先行指標を中心に、価値ループをどう設計・可視化するかを解説します。
1. KPI設計の出発点はAha
価値提供の指標は、売上やDL数ではありません。ユーザーが「良くなった」と確信する瞬間=Ahaがすべての始点です。
例:経理SaaSの場合 Aha定義:「仕訳が自動化される瞬間」 TTV:最初の自動仕訳までの時間 Dτ:翌月も安心して自動化が続く率
これらを“つなぎ”で見ます。Ahaが上がればTTVは短くなり、TTVが短ければDτ(翌月継続)も上がる。この連鎖が「価値ループ」です。
2. KPI設計の原則:先行指標で見抜く
- 結果KPI: 売上・継続率・LTV(結果)
- 先行KPI: Aha%・TTV・Dτ(価値の変化)
結果KPIを動かすには、先行KPIを操作する必要があります。
PdMが語るべきは「何をした結果、Ahaがどのように変化したか」です。
3. 実例:数値に“ストーリー”をつける
例として、経理SaaSのチームがAhaを「仕訳自動化の瞬間」と定義したケースを見てみましょう。
現状: Aha% 41 → Dτ 19% 仮説: Ahaは強いが、“翌月の不安”が継続率を下げている。 施策: 通知バナーで「自動化が翌月も継続中」を可視化。 結果: Aha% ±0/TTV −8秒/Dτ +4.3pt
このように、KPIは“何を変えた結果、どの指標がどう動いたか”を説明できる構造で設計します。
4. 可視化の仕組み:ダッシュボードと仮説ノート
KPIを可視化する目的は「全員が同じストーリーを語れるようにすること」です。
そのためには、数字を置く場所だけでなく、“変化を言語化する場”が必要です。
- 週次ダッシュボード:Aha%/TTV/Dτを時系列で
- 仮説ノート:施策→変化→学びを1行で記録
これをチームで共有すれば、「何が効いたのか」「どの仮説が外れたのか」が一目で分かるようになります。
5. よくある落とし穴
- 数字だけで評価: “Ahaが上がった” ではなく “なぜ上がったのか” を説明する
- 時系列で見ない: 単発のスナップショットでは変化を誤解する
- チームが数値を見ていない: KPIがPdM専用の“ブラックボックス”になっている
6. KPIを“語れる言葉”にする
数字は“結果”ではなく“対話の起点”です。
たとえば週次ミーティングではこう言えます。
「Ahaは横ばいでしたが、TTV p95が−12秒。つまり“遅い体験”が改善されています。 この傾向が続けば、翌月Dτが+3pt程度動く見込みです。」
このように語れると、チームは数字を“生きた情報”として使い始めます。
7. 学びを次に回す:KPI→仮説→施策→検証のループ
KPIはレポートではなく、仮説学習のトリガーです。
1. 変化を見る(KPI) 2. 原因を探る(定性) 3. 仮説を立てる 4. 施策で試す 5. またKPIで見る
このループを繰り返すことで、数字と価値提供の距離がどんどん近づきます。
おすすめ参考リソース
「価値ループ」を可視化し、チームで共有する方法を学ぶならこちらの書籍が最適です。
![]() |
プロダクトマネジメントのすべて 事業戦略・IT開発・UXデザイン・マーケティングからチーム・組織運営まで 新品価格 |
![]()
関連記事
FAQ
Q1:KPIの数はいくつが理想?
A:3つまでです。多すぎると焦点がぼやけ、学びが進みません。
Q2:結果が出ないときの判断軸は?
A:数値の変化だけでなく、“仮説の正しさ”を評価します。動かなくても学びがあれば次に進めます。
▼有料note(直リンク)



コメント