録音を止めた会議室に、しばし沈黙が落ちました。若手のPdMが言います。「たくさん“声”は集まりました。でも、結局…何を作れば?」。私はホワイトボードに三つの矢印を書きました——原文 → 行動 → 時間。「ここを言い換えれば、施策になります」
結論:ユーザーの“原文”は、行動(誰が何を)×時間(何分で)へ言い換えると、UI文言・仕様・KPIに変換できます。
全体像:原文 → 行動 → UI/仕様 → KPI(Aha/TTV/翌日活性)
ねらいは「声を実装にする」こと。やり方は、原文を行動へ、行動をUIと仕様へ、そしてKPIへ落とす一直線。失敗するのは、機能語へ直行するケースです。まず“行動”を通すと、設計がぶれません。
【コピペOK】変換チェーン(1行版)
原文(不満/望み) → 行動の言い換え(◯◯できない/したい) →
UI/仕様(ヒント/自動化/並べ替え等) → KPI(Aha定義/TTV目標/翌日活性)
「声→価値→運用」の全体像は、課題解決型PdM 完全ガイド と 価値提供型PdMの設計図を先に押さえると接続が速いです。
7つの“言い換えテンプレ”——原文を仕様に変える
ここからが実務。各テンプレは「原文→解釈→UI/仕様→KPI」までを1セットに。最初の2週間は、この7つだけで十分に回せます。
①「どこから始めれば?」系
原文:最初に何をしたらいいか分からない
解釈:開始点が不明 → ルートが見えない
UI/仕様:フォーム内ヒント+“続きから”ボタン(モーダルは使わない)
KPI:Aha定義=「◯◯を自力で△△」/ TTV ≤ 6分
②「入力が面倒」系
原文:住所の正式名称が分からない/長い
解釈:入力の摩擦が大 / 候補が欲しい
UI/仕様:1文字入力→サジェスト表示→選択で自動補完
KPI:TTV短縮(平均TTV ↓)/ Aha到達率 ↑
③「説明読まない」系
原文:説明は後で読む/長い文章は飛ばす
解釈:文脈外の説明は負荷
UI/仕様:説明→UI内化(5〜7語の言い換え)/ ツールチップ
KPI:Aha到達率 ↑(初回完了率)
④「空っぽ恐怖」系
原文:最初は何も表示されず不安
解釈:ゼロ状態が“動機”を下げる
UI/仕様:サンプルデータ初期配置+“削除して開始”導線
KPI:翌日活性(D1)↑
⑤「選択に迷う」系
原文:おすすめが分からない
解釈:選択肢が多すぎる/差が曖昧
UI/仕様:初期値+“推奨”バッジ/選択ごとのプレビュー
KPI:Aha到達率 ↑ / TTV ↓
⑥「後でやる」系
原文:今日は時間がない/また今度
解釈:リマインドが必要/再開が遠い
UI/仕様:成功時の“次の一歩”+24hリマインド(ディープリンク)
KPI:翌日活性(D1)↑
⑦「言葉が伝わらない」系
原文:専門用語が難しい/伝わらない
解釈:チーム語→ユーザー語への“言い換え”不足
UI/仕様:用語の脚注化/別名の併記/設定の自然言語化
KPI:Aha到達率 ↑(ヘルプ到達率 ↓)
質問設計:良い“原文”を引き出す聞き方
言い換えの質は、原文の質で決まります。だから質問は「事実→感情→行動の前後関係」を取り出す順番で。誘導を避けて、反証の余地を残すのがコツです。
【コピペOK】質問スクリプト(抜粋)
・直近で◯◯を使ったのはいつ/どこで/誰と?
・その時に一番迷った瞬間は? その後どうしましたか?
・“やめた/戻った/後回しにした”のは、どの場面でしたか?
・もし魔法があって1か所だけ自動化できるなら、どこ?
質問例や失敗回避のコツは、ユーザーインタビュー完全ガイドがまとまっています。
PRD断片/意思決定ログに落とす
言い換えた内容は、すぐにPRDと意思決定ログへ。台本化するとチームの速度が安定します。以下をそのまま使ってください。
【コピペOK】PRD(ミニ)
■ 背景:初回設定で迷いが多く、Aha到達率が低い
■ 目的:Aha 25%→35% / TTV 7.0→5.8分
■ 仕様:フォーム内ヒント/住所自動補完/サンプル初期配置
■ KPI:Aha定義=「◯◯を自力で△△」(≤5分)/ TTV / 翌日活性
【Slackコピペ】意思決定ログ(1枚)
原文→言い換え:◯◯が分からない→「開始点が不明」
KR:Aha/TTV/翌日活性
施策:ヒントUI内化/自動補完/サンプル配置
判断:Bを優先。理由=依存が少なく即効性
学習:結果/気づき/次の仮説
ミニケース:原文1行から“翌週の改善”まで
「住所が正式名称でないと進めない」。原文は1行でした。行動=入力の負荷、時間=完了までが長い。UIは自動補完+ヒントに変更。翌週、Aha到達の速度が上がり、翌日活性も静かに改善。大きな機能追加なしで、体験が変わります。
まとめ:原文は“資源”。言い換えで価値に変える
原文→行動→UI/仕様→KPIの一直線を、7つのテンプレで回す。今日は1つだけ、最近のインタビューから原文を選び、行動×時間に言い換えてPRD断片へ落としてください。そこから、プロダクトは前に進みます。
FAQ
- Q. 原文がバラバラで収束しません。
- A. 「行動×時間」に翻訳してからグルーピングしてください。機能語でまとめると議論が散ります。
- Q. 数値で言い切れないのですが…。
- A. 先行指標(Aha/TTV/翌日活性)の“方向”で十分です。絶対値はスプリントごとに更新しましょう。
- Q. CSや営業への展開は?
- A. UI文言と同じ“言い換え”を台本化すると効果的です。初回5分で使う言い換え集を共有してください。
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