火曜の朝、付箋がぎっしりの壁の前でチームが固まっていました。「どれから着手する?」——沈黙。私は深呼吸して、ホワイトボードに四つの文字を書きました。R・I・C・E。未経験〜ジュニアPdMの目が少し明るくなります。「順番さえ決まれば、手は動く」。
結論:優先順位は RICE × 依存関係 × 撤退条件 の3点セットで決めると、詰まりが消えます。
なぜ“RICE×依存関係×撤退条件”なのか
RICE(Reach/Impact/Confidence/Effort)だけで並べると、机上では美しくても現場で詰まります。理由は2つ。施策同士の“依存”が見えていないこと、そして“やめどき”が決まっていないこと。ここを最初に決めると、ねらい→やり方→失敗と直し方のループが短く回ります。
なお、Impactは先行指標(Aha/TTV/翌日活性)に効かせる観点で採点してください。遅行指標(売上)で評価すると、手が止まります。
先行指標の置き方はKPI設計と運用ガイドがまとまっています。Aha→TTV→翌日活性の順で“使う”のがコツです。
RICEの“実務版”に置き換える
スコアは「会話を終わらせる」ための道具。採点が目的化しないよう、粒度を落とし過ぎない・上げ過ぎないのバランスが重要です。次のテンプレをそのままコピーして、15分で草案を作ってください。
【コピペOK】RICEスコア表(先行指標版)
■ 対象期間:次の2週間スプリント
■ 指標寄与:どれに効く?(Aha / TTV / 翌日活性)
Reach(影響範囲):小=1 中=2 大=3
Impact(先行指標への効き):弱=1 中=2 強=3
Confidence(確からしさ):低=0.5 中=0.8 高=1.0
Effort(工数):小=1 中=2 大=3
Score = (Reach × Impact × Confidence) / Effort
“依存関係”を1枚に出す(詰まりの正体)
スコアが高いのに進まない施策は、たいてい前提作業にぶら下がっています。依存関係は「設定・データ・UI・通知・CS運用」の5レイヤーで洗い出し、線でつなぐ。ここを立体的に見ると、RICEの順番が自然に入れ替わります。
【コピペOK】依存関係ミニ表
施策A:住所自動補完(TTV)
依存:データ(候補ソース)/ UI(入力制御)
施策B:フォーム内ヒント(Aha)
依存:UI(ヘルプ文言)/ CS(言い換え集)
施策C:24hリマインド(翌日活性)
依存:通知(トリガー)/ 設定(配信同意)
撤退条件(Kill Criteria)を“先に”書く
迷いはやめどきがないから生まれます。先に書いておくと、会議が短くなり、チームの自律性が上がります。撤退条件は先行指標の未達で淡々と判断します。
【テンプレ】撤退条件(2週間)
・Aha到達率の改善が +5pp 未満、かつ 平均TTVが悪化 → 撤退/全面改修
・翌日活性のキーアクション率が ±0 のまま → 施策入れ替え
・未知の依存が2つ以上発覚 → 一旦保留、前提作業を先に
“スコア→順番→合意”を30分で終える会議台本
決める会議は、短いほうが良い。RICE採点は事前入力、会議は「入れ替え」と「やめどき」の合意だけ。以下の台本を使えば、未経験でも司会が回せます。
【Slackコピペ】優先順位会議(30分)
[招集] 木曜16:00-16:30 優先順位MTG(RICE×依存×撤退)
00-05 現状共有:Aha/TTV/翌日活性のメーター
05-15 RICE表の上位5件 → 依存関係の再確認・順番入れ替え
15-25 撤退条件の読み合わせ(2週間分)
25-30 決定事項を意思決定ログに転記・オーナー割当
サンプル:次スプリントの“上位3つ”
ここからは一例です。あなたのプロダクトのログに合わせて置き換えてください。ねらい→やり方→失敗と直し方を短文で添えると、実装が早くなります。
【コピペOK】上位3施策(例)
1) 住所自動補完(TTV):Score=2.4
ねらい:入力摩擦の削減 → Ahaまでの“距離”を詰める
やり方:候補API / 入力制御 / 受け入れ基準(P95 0.5s)
失敗と直し方:候補精度が低い→辞書を限定しパフォーマンス優先
2) フォーム内ヒント(Aha):Score=2.4
ねらい:モーダルをやめ、操作中に“言い換え”を提示
やり方:プレースホルダ/補足テキスト/タップ時ヒント
失敗と直し方:説明過多→5-7語に圧縮
3) 24hリマインド(翌日活性):Score=1.6
ねらい:初回価値の翌日に“次の一歩”を促す
やり方:ディープリンク/成功通知からの連結
失敗と直し方:通知無視→件名と冒頭を“30秒で終わる”に統一
意思決定と価値づくりの全体像は、課題解決型PdM 完全ガイド と 価値提供型PdMの設計図が土台になります。まずはここで“型”を共有してからRICEに入ると早いです。
意思決定ログで“資産化”する
会議で終わらせず、ログに残す。若手の育成にも効き、次の入れ替えが速くなります。1スプリント1枚、形は崩さないのがコツ。
【コピペOK】意思決定ログ
前提:誰の・何の不満か(25字)
KR:Aha/TTV/翌日活性のどれに効かせる?
選択肢:A/B/C(やらない含む)
判断:Bを採用。理由=依存が少なく即効性
捨てた:Aは保留。理由=前提作業が未整備
学習:結果/気づき/次の仮説(1行)
まとめ:順番が決まれば、速度は上がる
RICEだけに頼らず、依存関係と撤退条件までセットで決める。評価は先行指標に寄せ、2週間で躊躇なく入れ替える。今日やることはひとつ——「上位5施策をRICEの先行指標版で採点→依存ミニ表→撤退条件」を30分で書き切ることです。そこから、チームの速度は目に見えて上がります。
FAQ
- Q. RICEの“Impact”がブレます。
- A. Aha/TTV/翌日活性のどれに効くかを先に決め、そこへの効きで「弱/中/強」を判断してください。遅行指標での採点は避けましょう。
- Q. 工数(Effort)の見積もりが難しい。
- A. 2週間で“手を付けるだけ”ではなく、ユーザーが変化を感じるレベルを基準に見積もると精度が上がります。
- Q. 会議が長引きます。
- A. 採点は事前入力、会議は「順番の入れ替え」と「撤退条件」だけ。台本を使って30分で終わらせましょう。
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