夜のオフィス。締切前のPRDを見返すと、ページ数だけが増えているのに“決める材料”が見当たらない——そんな経験、ありませんか。
結論:PRDは「長文の企画書」ではなく、意思決定に必要な“断片”の束です。非スコープ/先行指標/撤退条件/施行日が最初に揃えば、現場は動きます。
意思決定と価値づくりの全体像は、課題解決型PdM 完全ガイド/価値提供型PdMの設計図でつながります。
1. PRDの“芯”だけ先に決める(ねらい→やり方→失敗と直し方)
ねらいは「読み物にしない」こと。やり方は、冒頭で非スコープ/先行指標(Aha・TTV・翌日活性)/撤退条件/施行日の4点だけ合意→残りは必要時に断片を足す。失敗は、先に画面や仕様詳細を詰めること。直し方は、まず判断の枠を決め、足りない説明は断片テンプレで後付けします。
計測とダッシュボードの並べ方はKPI設計と運用ガイドが最短です。
2. 1枚テンプレ(そのままコピペで骨格完成)
以下をPRDの先頭に固定。長い説明は後段へ“断片”でぶら下げます。
【PRDヘッダー(1枚)】
目的:誰のどの摩擦を解くか(行動+感情で一文)
先行指標:Aha達成率 +Xpp / TTV P50 −Y秒 / 翌日活性 +Zpp
非スコープ:やらないことを3点(例:料金改定、データ移行、通知配信の最適化)
撤退条件:KR未達(Aha +Xpp未満 × TTV悪化)なら撤退/ロールバック
施行日:yyyy-mm-dd hh:mm(定義変更・品質修復の有効化日時)
RACI:PdM=Owner、Data=Approver、Eng=Consulted、CS/Biz=Informed
依存関係:計測イベント/API準備/法務チェック
3. 断片サンプル集(32選)——“必要なときに貼るだけ”
各断片は2〜6行で即使用。状況に応じて必要なものだけ差し込めばOKです。
3-1. 非スコープ/境界線(5)
- 非スコープ(最小):今回の施策では、①料金体系の変更 ②既存通知の最適化 ③過去データのリバランスは行わない。
- 対象ユーザー:新規登録後72時間以内の初回起動者のみ。既存活性ユーザーは対象外。
- 対象導線:アプリ内「はじめる」ボタン経由のみ。Web経由は次フェーズ。
- 対象機能:オンボーディング3画面。プロフィール編集は除外。
- 時間範囲:ABは14日間。延長は効果量とSLO達成時のみ。
3-2. 先行指標/KPI断片(6)
- Aha達成定義:
save_success(保存成功)の発火を1回以上。 - TTV定義:
first_open → save_successの差(秒)。負値/24h超は除外。 - 翌日活性定義:Aha翌日に
resume_opened(直行)を記録 / Aha達成者。 - KR(短期):Aha +4pp / TTV P50 −60秒 / 翌日活性 +3pp(2週間)
- KR(中期):D7継続 +2pp(四半期)
- SLO:四枚(Aha/TTV/D1/新規比率)リフレッシュ≤15分。逸脱時は停止→修復→再開。
3-3. 計測・品質(5)
- 必須イベント:
first_open/save_success/resume_opened - デデュープ:同一ユーザーの
save_successは30秒以内を1件に集約。 - 時刻:全てUTC保管→表示はJST。夏時間なし。
- 欠損対応:必須イベント欠損→集計停止→バックフィル→施行日注記→再開。
- 定義の正本:用語・定義は“正本URL”のみ参照(コピー禁止)。
3-4. UI/UX断片(6)
- 初回着地:「はじめる」→テンプレ選択→保存成功まで3タップ以内。
- 導線短縮:初回はサイドメニュー非表示。Ahaに不要な要素は隠す。
- コピー:主要CTAは「保存して次へ」。説明文は7〜12字。
- エラー:保存失敗時は再試行ボタン+自動再送(1回)。
- チュートリアル:3枚以内、スキップ可。スキップもAhaに至る導線を提示。
- アクセシビリティ:タップ領域44px以上、音声読み上げ対応、色弱配慮。
3-5. 通知・リテンション断片(5)
- 通知条件:Aha未達で24h経過。from_notificationで直行を計測。
- 通知文面:{ユーザー名}さん、昨日の続きは1タップで再開できます。
- 送信時刻:19:00±30分(ユーザーの活動時間帯推定)。
- 頻度制御:同一目的の通知は72hに1回まで。
- AB停止基準:D1 +2pp未満×解約率悪化→即時撤退。
3-6. リスク・法務・セキュリティ断片(5)
- 個人情報:目的外利用なし/最小化/保持期間の透明化。
- ログ保持:Rawは不変・追記のみ。削除はStaging/Featureで対応。
- 利用規約:導入時に要点表示+詳細はヘルプへ。
- 障害時:ユーザー影響が高い順にロールバック/注記/告知。
- 監査:施行日の変更履歴を5行ログで残す。
4. 画面より“撤退条件”が命——2行テンプレ
手戻りを最小にする最大のコツは「やめる基準」の明文化。短いほど強いです。
撤退条件:2週間時点で Aha +4pp未満 × TTV P50悪化(+10秒以上)なら撤退。
ロールバック:旧定義に戻し、施行日で系列分割。学習ログを残す。
5. “施行日”の書き込み例(PRD/BI/Slackの三点止め)
定義変更や品質修復は“なかったこと”にしない。PRD・BI・Slackの三点で一斉に明記します。
PRD:施行日=2025-09-03 10:00(Ahaの重複集約を適用)
BI:縦線を引き、前後を別系列表示。注記に影響幅(Aha −1.1pp)
Slack(#release-data):
対象:Aha定義 v1.3 施行=2025-09-03 10:00
差分:連続成功の重複を30秒で集約
影響:Aha −1.1pp見込み。以降は新定義で評価
6. PRDチェックリスト(30秒で点検)
提出前にこの5行だけ声に出して確認すれば、ほぼ通ります。
□ 冒頭1枚に 非スコープ/先行指標/撤退条件/施行日 がある
□ Aha/TTV/翌日活性の定義が書かれている(式は短文)
□ 依存関係(計測・API・法務)が列挙されている
□ 断片テンプレが必要分だけ差し込まれている(長文なし)
□ 施行日がBI/Slackと同じ内容で記録されている
7. 会議を“説明会”から“判定会”へ:10分台本
台本はいつも同じ。差分だけを読み上げ、入替/撤退を即決します。
[00-02] 先週差分:Aha +pp / TTV −秒 / D1 +pp(施行日またぎは分割)
[02-04] 品質/SLO:欠損0、四枚リフレッシュ≤15分
[04-07] 入替宣言:撤退/継続/拡張(PRD更新)
[07-10] リスク/法務:違反なし。5行ログを追記
8. サンプル:オンボ改善PRD(実寸の断片を束ねる)
実際の提出形に近い“束ね方”の例です。自社事情に合わせて数字のみ置換すればOK。
【PRDヘッダー】
目的:初回体験で保存までが遠い(不安で戻る)。Aha達成率を短期で引き上げる。
先行指標:Aha +4pp / TTV P50 −60秒 / D1 +3pp(2週間)
非スコープ:料金改定・既存通知最適化・過去データの再集計
撤退条件:KR未達×TTV悪化 → 撤退/ロールバック
施行日:2025-09-03 10:00
RACI:PdM=Owner、Data=Approver、Eng=Consulted、CS/Biz=Informed
依存関係:イベント実装、API /save、法務確認
【断片:UI/UX】
・「はじめる」→テンプレ選択→保存成功の3タップ化
・CTA「保存して次へ」/説明文7〜12字
・失敗時は再試行ボタン+自動再送1回
【断片:計測・品質】
・必須:first_open / save_success / resume_opened
・デデュープ:save_successは30秒以内を1件
・欠損時は停止→バックフィル→施行日注記→再開
【断片:通知】
・Aha未達で24h後に再開通知(19:00±30分)
・頻度:72hに1回まで
【断片:撤退/ロールバック】
・2週時点で Aha +4pp未満 × TTV悪化なら撤退
・旧定義へ戻しBI系列を施行日で分割
FAQ(見えるブロック)
- Q. PRDが長くなります。どこを削れば?
- A. 冒頭1枚に“判断4点”を残し、説明は断片に分解。不要な歴史・感想は削除してOKです。
- Q. 数字の定義は誰が決める?
- A. PdMがOwner、DataがApprover。定義変更は施行日で前後を分割して扱います。
- Q. 未経験でも使える型は?
- A. 本文の1枚テンプレ+断片集で十分。Aha/TTV/翌日活性の差分で判定すれば通ります。
PRD断片テンプレ(PDF)
1枚ヘッダー/32断片/チェックリスト/10分台本/Slack告知文を1ファイルに。
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