OKR×ロードマップの組み立て方|ジュニアPdMが“先行指標”から逆算してチームを動かす実践術
「OKRは作った。けど、スプリントが進むほど“やること”が増えて、結局なにからやればいいか分からない」——転職直後の私も、まさにここでつまずきました。会議室で壮大なO(Objective)を掲げたはずが、翌週にはバグ修正と要望対応で手一杯。
突破口は、先行指標(Aha/TTV/翌日活性)から逆算してOKRを“細い一本の道”にすることでした。
この記事では、ジュニアPdM/未経験PdMでも明日から使えるよう、OKR → 優先順位 → ロードマップ → スプリントの流れを、私の現場での型とコピペ素材つきで解説します。
1. 全体像:OKRは“先行指標”から逆算する
ねらい:売上などの遅行指標ではなく、先に動かせる手触りのあるKRsを据える。
やり方:まずプロダクトのAha(初回価値)、TTV(Aha到達までの時間)、翌日活性(翌日の再起動)を定義。KRはこの3系統に並べ替える。
よくある失敗:「MAU +◯%」「売上 +◯%」など結果だけを置く。
直し方:結果を分解し、“Aha到達率/TTV短縮/翌日活性率”のいずれかに変換する。
▼OKR雛形(コピペOK)
O: 新規ユーザーが「価値が分かるまで」を最短にし、翌日の再起動を当たり前にする
KR1[Aha]: 初回価値到達率を X% → Y%
KR2[TTV]: 初回価値到達までの中央値を Nmin 短縮
KR3[翌日活性]: 翌日再起動率を A% → B%
KR4[品質担保]: Aha到達までの離脱Top3摩擦を1つずつ半減
このKRなら、「今日なにを作るとKRが動くか」を説明しやすく、スプリント会議で迷いません。
2. 優先順位:RICEで“賭ける順番”を決め切る
ねらい:「声が大きい順」から卒業して、効果×確度×工数で並べる。
やり方:候補施策をRICE(Reach/Impact/Confidence/Effort)でスコアリングし、KRに対する貢献度で序列化。
よくある失敗:すべて“高”になって並び替え不能。
直し方:Confidence(確度)だけは定量根拠を添える(ログ/簡易インタビュー/過去実績)。
▼RICE簡易テンプレ(表計算に貼るだけ)
施策 / KRとの関係 / Reach(1-5) / Impact(1-5) / Confidence(0.5-1.0) / Effort(人日)
/ スコア = (Reach*Impact*Confidence)/Effort
RICEの詳しい運用は、RICEで迷わない優先順位付け|ジュニアPdMが明日から決め切るための実践ガイドを参照。
3. ロードマップ:KR→ベット(賭け)→成果仮説の一本線
ねらい:“やることリスト”ではなく、KRを動かす仮説の連鎖にする。
やり方:四半期を3〜4つのベットに分け、各ベットに「狙うKR/成果仮説/主要摩擦/検証指標」をセットする。
よくある失敗:ベット=機能名になってしまう。
直し方:ベット名は“学習の仮説”で書く(例:Aha摩擦「◯◯」の解消でTTVがX分縮む)。
▼ベットカード(1枚メモ)
Bet名:Aha摩擦「初回設定の不安」を解消してTTVを短縮
狙うKR:TTV中央値 -5min / Aha到達率 +8pt
成果仮説:安心材料(文面/導線/チュートリアル)で躊躇を削ると、初回設定に踏み切れる
検証指標:初回設定完了率 / 途中離脱の理由ログ / 翌日活性率
主要タスク:文面AB / 導線変更 / ヒント表示 / CSスクリプト
ロードマップの段取り全体は、PdMロードマップ作成の完全ガイド|未経験から実践できるステップとテンプレート活用法にも詳しくまとめています。
4. スプリント運用:合意形成は“一行”で終わらせる
ねらい:議論を早く終わらせ、手を動かす時間を最大化。
やり方:5枚メモ(目的/現状/仮説/プラン/リスク)+DACIで役割を明確化。
よくある失敗:「誰が決めるのか」が曖昧で、レビューが無限ループ。
直し方:Driver/Approver/Contributor/Informerを冒頭に明記。
▼Slack合意形成(コピペOK)
件名:Bet-1 スプリント提案(Driver: PdM, Approver: EM)
目的:Aha摩擦「初回設定の不安」を削ってTTV -5min
仮説:安心材料(文面/導線/チュートリアル)で踏み切れる
やること:文面AB / 導線変更 / ヒント表示 / CSスクリプト
計測:初回設定完了率 / 途中離脱理由 / 翌日活性
承認可否:本日17:00までに Approve/Comment で返信ください
「一行で進む」ための思考とドキュメントは、PdMの意思決定力を鍛える実践フレームワーク|5枚メモでチームが動くをどうぞ。
5. KRの設計:KPIは“事業×顧客”の両輪で
ねらい:収益だけでなく、顧客の体験価値を同時に上げる。
やり方:主要KPIを「事業KPI(CVR/粗利等)」と「顧客KPI(Aha/TTV/活性)」でペア設計し、両方が上がった時だけ“成功”と定義。
よくある失敗:短期CVRだけを追い、翌月に反動が出る。
直し方:OKRレビューで“顧客KPI”が悪化していないかを必ず確認。
KPI設計の考え方は、PdMのKPI設計完全ガイド|事業価値と顧客価値を両立させる実践ステップが参考になります。
6. 現場テンプレ:OKR/ロードマップ/PRDスニペット
6-1. OKRミニテンプレ
O: 〇〇ユーザーが“初回価値”に最短到達し、翌日も自然に再起動している状態を作る
KR1[Aha]: 初回価値到達率 X→Y
KR2[TTV]: 到達までの中央値 N分短縮
KR3[翌日活性]: 翌日再起動率 A→B
KR4[品質担保]: 離脱Top3摩擦の各率 半減
6-2. ロードマップ(四半期)テンプレ
Qx ロードマップ
Bet-1: Aha摩擦「◯◯」の解消 → KR: TTV -5min / Aha +8pt
Bet-2: 初回導線の再設計 → KR: Aha +5pt / 翌日活性 +3pt
Bet-3: チュートリアル最適化 → KR: 翌日活性 +5pt
6-3. PRD断片(受入条件だけ先に決める)
受入条件(例)
・初回設定の説明文が表示され、スクロールなしで主旨が理解できる
・設定後に次の一手(推奨アクション)が1つだけ提示される
・ログに「途中離脱理由」が1行で残る
7. 物語:ゼロイチ〜スケールで学んだ“折り合いの付け方”
私が関わったBtoBtoCのゼロイチでは、OKRを売上に寄せすぎて、先行指標がほぼ空欄の四半期がありました。チームは毎週“成果が見えない不安”でギスギス。そこでAha/TTV/翌日活性にKRsを切り直すと、会話が一気に軽くなり、UI/CS/文面の小さな改善が連鎖しました。
教訓はシンプル。OKRを“動かせる指標”にするだけで、スプリントは勝手に前へ転がり出します。
8. 今日の実践チェックリスト
- Aha/TTV/翌日活性の定義を書き出した
- KRを先行指標に変換した(遅行指標はペアで監視)
- 施策候補をRICEでスコアリングし、上位3つをベットに束ねた
- SlackでDACIを明示した“一行提案”を送った
- 翌週レビューの「顧客KPIチェック」をアジェンダに入れた
関連記事(内部リンク)
- ロードマップ作成の完全ガイド|テンプレ活用で段取りを固める
- KPI設計の実践|事業価値×顧客価値を両立させる
- RICEで迷わない優先順位付け|決め切るための実践ガイド
- 5枚メモで合意形成を早める意思決定フレーム
- ロードマップに悩むジュニアPdMへ:基礎から実践まで
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