「PRD、どこまで書けば足りますか?」——ジュニアPdMの目線は真剣でした。会議室のホワイトボードの前で、私は5枚のスケッチを並べます。背景・ユーザー・指標・スコープ・受け入れ基準。静かな合意が、そこで生まれました。
結論:PRDは“5枚”で十分——Aha→TTV→翌日活性を芯に、チームの意思決定がぶれない要件定義を最短で作れます。
まずは“5枚”の地図を持つ(図解の考え方)
PRDが厚いほど良い、わけではありません。必要なのは「同じ景色を見る地図」。ここでは5枚の地図で、ねらい→やり方→失敗と直し方までを一気通貫で共有します。最初のドラフトは30分で十分。あとから厚くできます。
【コピペOK】PRD“5枚”の見出し
- 背景とねらい(誰の何の不満/未充足に向き合うか)
- ユーザーと課題(行動/感情の一次情報と反証)
- 成功指標(Aha定義・TTV目標・翌日活性)
- スコープ/非スコープ(今回やる/やらない)
- 受け入れ基準/リスク(Given-When-Then/運用・非機能)
意思決定と価値づくりの全体像は、課題解決型PdM 完全ガイド と 価値提供型PdMの設計図を押さえると理解が速くなります。
1. 背景とねらい——“一行で語れる”に削る
背景が長いと、意思決定は遅くなります。まずは“一行”で目的を言い切り、次に判断材料(一次情報)と反証の余地を書きます。ここまでで会話の土台が揃います。
【テンプレ】背景とねらい
■ 背景(一行)
新規ユーザーの初回価値到達に時間がかかり、翌日活性が低い。
■ 目的(一行)
Aha到達率を上げ、TTVを短縮して、翌日活性を改善する。
■ 一次情報(抜粋)
・初回オンボで◯◯に迷う、という発言が多数(インタビュー原文)
・アクセス解析:初回◯◯の完了率が低い
2. ユーザーと課題——“原文”で書く
課題を機能語で書くと、実装に引っ張られます。ここはユーザーの言葉そのままに。観測と反証を一対で並べると、議論が早くなります。
【テンプレ】ユーザー課題の書き方
■ 誰の:新規管理者ユーザー(属性A/B)
■ 何の:初回設定の◯◯で戸惑う
■ その証拠:インタビュー原文「◯◯がどこかわからない」
■ 反証:ヘルプ到達者は戸惑いが減る(ログ)
3. 成功指標——Aha→TTV→翌日活性の“順番”で
売上は遅行指標。ここでは先行指標だけに集中します。Ahaは「価値に気づく瞬間」を具体的な行動×時間で定義、TTVは“そこまで”の摩擦、翌日活性は再訪やキーアクションで見ます。この順番で設計すると、議論が噛み合います。
【テンプレ】指標ブロック
■ Aha定義:
「◯◯を自力で△△できた」状態(所要 ≤ 5分)
■ TTV目標:
初回ログイン→Aha まで ≤ 6分
■ 翌日活性(D1):
翌日、キーアクション◯◯を1回以上 実行
指標設計の“使い方”はKPI設計と運用ガイドで深掘りできます。
4. スコープ/非スコープ——“やらない”も書く
PRDで最も効くのは、やらない宣言。限られた時間で価値に直結しないものを外す訓練です。BtoBtoCでは運用(CS/営業)も広義のプロダクト。ここに手を入れるかどうかを明記しましょう。
【テンプレ】スコープ表
■ やる:
・住所自動補完の導入(入力摩擦の除去)
・チュートリアルのUI内化(モーダル廃止)
■ やらない:
・複数拠点対応(次期)
・通知インフラ刷新(影響大のため調査のみ)
5. 受け入れ基準/非機能——曖昧さを潰す
受け入れ基準は「手で確かめられる」粒度に。Gherkin風に短く。非機能は可用性・性能・監視・権限の最小限だけでも合意すると、後戻りが激減します。
【コピペOK】受け入れ基準(例)
Given 新規ユーザーが初回ログインを完了している
When 住所フォームに1文字入力する
Then サジェストが0.5秒以内に3件以上表示される
And 候補を選ぶと該当フィールドが自動補完される
【非機能の最小セット】
- 応答:P95 ≤ 800ms(対象エンドポイント)
- 稼働:99.9%(営業時間帯)
- 観測:Aha/TTV関連のイベント計測がダッシュボードで可視
- 権限:管理者/一般の操作境界をテーブル化
レビュー会は“30分×台本”で回す
PRDレビューは長くなりがち。台本化して、意思決定の速度を上げます。資料は“5枚”を画面共有、メモは意思決定ログに一本化。
【Slackコピペ】レビュー招集と進行台本
[招集メッセージ]
今日16:30-17:00 PRDレビュー(5枚+受け入れ基準)
目的:Aha/TTV/翌日活性の定義とスコープ合意
[当日の流れ]
00-05 背景・ねらい(1分)+ 質問
05-12 ユーザー・課題(原文3つ)+ 反証
12-20 指標(Aha/TTV/D1)と閾値の合意
20-25 スコープ/非スコープ
25-30 受け入れ基準の読み合わせ → 次アクション
“書きすぎない”ための運用——意思決定ログで軽く回す
厚いPRDはあとから。毎スプリントの意思決定ログを残すことで、交渉・合意形成・オンボのスピードが安定します。若手育成にも効く運用です。
【テンプレ】意思決定ログ(1スプリント1枚)
前提:誰の・何の不満か(25字)
目標:Aha到達率 / 平均TTV / 翌日活性
選択肢:A,B,C(やらない含む)
判断:Bを採用。理由=入力摩擦が最大
捨てたもの:Aは次期。理由=不確実性が高い
学習:結果×気づき×次の仮説
まとめ:5枚で景色を合わせ、先行指標で進める
PRDは正しさの証明書ではなく、チームの“進み方”の合意書。5枚の地図で景色を合わせ、Aha→TTV→翌日活性の順で回す。まずは30分でドラフトを書いて、レビュー台本で回しましょう。
FAQ
- Q. 5枚だけで開発は回りますか?
- A. はい。まずは意思決定の土台を合わせ、実装中に必要な詳細は受け入れ基準とログで補完します。厚さより“更新性”を優先します。
- Q. Ahaの定義が難しいです。
- A. 行動×時間で言い切るのがコツです。「誰が・何を・何分で」。迷ったらインタビューの原文から言い換えましょう。
- Q. KPIはどこまで本文に入れるべき?
- A. PRDには先行指標(Aha/TTV/翌日活性)だけでOK。遅行指標(売上等)はレビュー時の補足に回すと、議論がぶれません。
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