木曜の夕方、Jiraの通知バッジが赤く光っていました。「76」。明日スプリントが始まるのに、バックログは膨らむばかり。未経験PdMの彼はため息をつきます。「どれも良さそうで、捨てられないんです」。私は一呼吸おいて言いました。「順番の前に、まず“反証”から。」
結論:バックログ精査は、反証(やらない根拠)→スクリーニング(残す/寝かす/捨てる)→意思決定ログの順で回すと、最短でAha・TTV・翌日活性に効きます。
なぜ「反証から始める」のか(全体像)
「やる理由」は無限に出てきます。議論が終わらない原因は、やめどきの不在。だからこそ、ねらい→やり方→失敗と直し方の“最初に”やらない根拠を探します。先に境界を引けば、スクリーニングは自動化しやすくなります。
【コピペOK】反証チェック(1枚)
- 一次情報はあるか(原文/行動ログ/数値)。なければ保留。
- 先行指標(Aha/TTV/翌日活性)のどれに効くのかを言い切れるか。
- 依存関係が2つ以上あるか(あるなら先に前提を詰める)。
- 撤退条件が書けるか(基準×期間)。書けないなら寝かす。
意思決定と価値づくりの両輪はここが基礎です。課題解決型PdM 完全ガイド/価値提供型PdMの設計図で全体像を先に揃えると速いです。
タグ設計:バックログに“判断のための”メタを付ける
見た目のカテゴリ(UI/通知/課金など)だけでは精査できません。判断に必要なメタ情報——先行指標/一次情報の有無/依存/撤退条件——をタグに落とし込み、一覧でフィルタ可能にします。
【コピペOK】タグの最小セット
kpi:aha / kpi:ttv / kpi:d1
evidence:raw / evidence:log / evidence:none
dep:low / dep:mid / dep:high
kill:written / kill:none
スクリーニング3区分:残す/寝かす/捨てる
ここから一気に削ります。RICEに入る前段で「やらない根拠」を優先し、3区分で棚卸し。ねらい→やり方→失敗と直し方を短く連続させると、合意が速くなります。
【ルーブリック】3区分判定(15分で一掃)
- 残す: evidence≠none かつ kpi:(いずれか) かつ kill:written
- 寝かす: evidence:none または dep:high(前提未整備)
- 捨てる: kpiタグ不明 かつ 反証あり(代替施策あり/コスト過剰)
“反証からのRICE”で順番を決める
残したものだけをRICEで粗採点。Impactは売上ではなく先行指標への効きで判定します。依存が重いものはEffortと合わせて下げ、撤退条件を前に置くことで“やめどき”を先に合意します。
【コピペOK】RICE(先行指標版)
Reach:小=1/中=2/大=3
Impact(Aha/TTV/D1への効き):弱=1/中=2/強=3
Confidence:低=0.5/中=0.8/高=1.0
Effort:小=1/中=2/大=3
Score = (R×I×C) / E
撤退条件:Aha +5pp 未満 かつ TTV悪化で即撤退
Aha→TTV→翌日活性の並べ方は、KPIの“使い方”が肝です。詳しくはKPI設計と運用ガイドへ。
会議台本:30分で精査→順番→ログまで終える
精査会は長くしません。反証→3区分→RICE→撤退条件→意思決定ログの順で読み上げ式。未経験PdMでも回せる台本を置きます。
【Slackコピペ】バックログ精査(30分)台本
[招集(前日)]
明日16:00-16:30 バックログ精査。目的=“やらない”を先に決める。
資料=反証チェック/タグ付きバックログ/RICE表(下書き)
[当日進行]
00-05 目的と基準の読み上げ(先行指標に効かない案は落とす)
05-12 反証チェック→3区分(残す/寝かす/捨てる)
12-22 残すにRICE採点+撤退条件の合意
22-27 上位3つを次スプリントへ、残りは保留/削除
27-30 意思決定ログを読み上げてClose
PRD断片:精査結果を“実装に渡せる”粒度へ
精査は通過点。開発/CSに渡すために、必要十分のPRD断片をその場で作ります。受け入れ基準は手で確かめられる短文で。
【コピペOK】PRD(ミニ)
■ 背景:初回入力で離脱が多い → Aha到達率が低い
■ 目的:Aha 25%→35% / TTV 7.0→5.8分 / D1 12%→16%
■ 施策:住所自動補完 / フォーム内ヒント / サンプル初期配置
■ 撤退条件:Aha +5pp 未満 かつ TTV悪化で撤退
■ 受け入れ基準:
Given 初回ログイン
When 住所1文字入力
Then 候補3件が0.5秒以内に表示/選択で自動補完
意思決定ログ:再現性を高める“1枚”
良い精査の副産物は、学習の言語化。ログが溜まるほど、次回の判断が速くなります。形式は崩さず、1スプリント1枚で続けます。
【コピペOK】意思決定ログ
前提:誰の・何の不満か(25字)
KR:Aha/TTV/D1 のどれに効かせる?
選択肢:A/B/C(やらない含む)
判断:Bを採用。理由=反証をクリア、依存が少ない
撤退:Aha +5pp 未満 かつ TTV悪化で撤退
学習:結果/気づき/次の仮説(1行)
ミニケース:76件のバックログが9件になった話
通知バッジ「76」から始まった精査会。反証チェックで半分が寝かし、先行指標に効かない案は“捨てる”へ。残りをRICE(先行指標版)と撤退条件でふるい、次スプリントへは9件だけ。翌週、Aha到達率が静かに上がり、議論の量は半分になりました。
まとめ:反証が、スピードを生む
やる理由の前に、やらない根拠。反証→スクリーニング→意思決定ログの直列は、未経験PdMでも実装速度を上げる最短ルートです。今日やることはひとつ——バックログにタグ(kpi/ evidence/ dep/ kill)を付け、反証チェックで3区分。明日のスプリント計画が軽くなります。
FAQ
- Q. 反証が見つからないときはどうする?
- A. 一次情報が足りません。まずは短いユーザーインタビューか行動ログの抜き出しを。原文→行動→時間の順に確認しましょう。
- Q. RICEのImpactが人によってブレます。
- A. Aha/TTV/D1のどれに効かせるかを先に固定し、その指標への効きで弱/中/強を判定します。
- Q. “寝かす”が溜まっていきます。
- A. 寝かし箱は毎月の第1週に全消化(再精査/削除)するルールを明文化してください。
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