火曜の午後、進捗会が始まる直前。未経験PdMの彼は、厚い資料を前に動けなくなっていました。私はノートPCを閉じて言います。「レビューは“決めるため”の会。30分で終わらせよう」。その場でホワイトボードに三つだけ書きました——Aha、TTV、翌日活性。
結論:OKRレビューは、Aha(初回価値)→TTV(価値到達時間)→翌日活性の3指標で運営し、30分台本で“決め切る”と最短で成果に繋がります。
なぜ30分で十分か(全体像の設計)
長いレビューは、決まらない会議の温床です。OKRの確認は「事実→解釈→判断」をAha/TTV/翌日活性で一直線に揃えるのがコツ。厚い議論より、短いループでの合意が効きます。ここから「台本→資料→議事録」の順に接続します。
意思決定と価値づくりの全体像は、まず 課題解決型PdM 完全ガイド と 価値提供型PdMの設計図 を押さえると理解が速いです。
事前準備:資料3点と役割分担(ねらい→やり方→失敗と直し方)
事前の用意が8割です。資料は3点に絞り、役割を固定しましょう。失敗は「資料が多い」「誰が決めるか曖昧」から起きます。
【事前資料3点】
- メーター:Aha到達率/平均TTV/翌日活性(前週比・目標ギャップ)
- 施策ボード:上位3件+撤退候補1件(RICE要約付き)
- 阻害要因リスト:依存関係と暫定回避策(1枚)
【役割分担】
司会=PdM、計測=アナリスト/開発、運用=CS、決裁=責任者(出席が難しければ事前承認ラインを書面で)
KPIの“並べ方”は KPI設計と運用ガイド にまとまっています。Aha→TTV→翌日活性の順で使うのがコツです。
30分台本(分刻み):この順番で読み上げる
台本は“読み上げ式”。迷ったら文面そのままを使います。各ブロックの終わりに「決める文」を置くと、会議が自然に前へ進みます。
[00-03] 目的の再確認(司会)
「本日の目的は、先行指標の差分に対して来週の手を決め切ることです。」
[03-08] 指標メーター共有(計測)
Aha:◯◯%(先週比±pp) TTV:◯◯分(±分) D1:◯◯%(±pp)
→ 質問は“事実”のみ。解釈/提案は後段へ。
[08-15] 施策の入れ替え議論(PdM)
上位3施策の現状/阻害要因/依存関係を確認
→ 「今週はAとBを残し、Cを撤退候補に回してよいか?」
[15-22] 改修点の一点集中(開発×CS)
阻害要因リストから“1つだけ”潰す点を選ぶ
→ 「入力→自動化」「説明→UI内化」のどちらでいくか。
[22-27] 判断と割当(司会)
誰が何をいつまで:担当/期限/受け入れ基準を一文で
→ 「受け入れ基準を読み合わせ、合意します。」
[27-30] 意思決定ログの読み上げとClose
「本日の決定は3点。未決事項はゼロ。来週は指標のみで評価。」
指標メーターの作り方(3枚ダッシュボード)
ダッシュボードは3枚で十分です。見せ方のルールを決めておくと、レビューが速くなります。数字は「絶対値」「先週比」「目標ギャップ」の三段で表示します。
【イベント定義と算出】
- Aha:
first_value_doneで到達率を算出(誰が/何を/何分で) - TTV:
first_login→first_value_doneの時間差の平均 - 翌日活性:翌日キーアクション実行率
key_action_d1
【表示テンプレ】
Aha 32%(+5pp)/目標 40%/ギャップ 8pp
TTV 6.4分(-0.8分)/目標 5.5分/ギャップ 0.9分
D1 14%(+2pp)/目標 18%/ギャップ 4pp
判断を早くする「受け入れ基準」テンプレ
判断が遅い理由の多くは、受け入れ基準の不在です。レビュー中に30秒で読み合わせられる粒度に落とします。Gherkin風に短く、可観測な条件で揃えましょう。
Given 新規ユーザーが初回ログインを完了
When 住所欄に1文字入力
Then 0.5秒以内に候補が3件以上表示される
And 候補選択で該当フィールドが自動補完される
議事録と公開の型(そのまま貼れる)
議事録は短く。一覧性を重視し、翌日の行動に接続します。司会が読み上げ、全員で文言を修正してから保存すると、齟齬が減ります。
【コピペOK】議事録テンプレ
■ 目的:先行指標の差分に対する来週の手を決め切る
■ 指標:Aha 32% / TTV 6.4分 / D1 14%
■ 決定:施策A/B継続、施策Cを撤退候補へ移す
■ 一点集中:入力→自動化(住所自動補完)を優先
■ 受け入れ基準:上記の通り
■ 担当/期限:A=◯◯ 9/2、B=◯◯ 9/6
■ 未決事項:なし(次回へ持越しゼロ)
Slack文面(招集・終了報告)
会議の前後はテキストで流すと速度が上がります。言い回しは短く統一しましょう。
【招集(前日)】
件名:明日 16:00-16:30 OKRレビュー(30分)
資料:メーター/施策ボード/阻害要因リスト(各1枚)
目的:差分に対して、来週の手を決め切る
【終了報告(当日)】
本日の決定は3点。A/B継続、C撤退候補。入力→自動化に集中。
受け入れ基準を読み合わせ済。来週は指標のみで評価。
よくある失敗と立て直し方
失敗のパターンは決まっています。短く原因と対処を書き、次回の台本に反映しましょう。
- 議論が散る: 指標と関係のない話題が混入。司会が「先行指標での差分に戻します」と口癖で戻す。
- 人依存の提案になる: 受け入れ基準を読み上げ、可観測に戻す。反証可能な形で合意。
- 時間切れ: 27分で「意思決定ログ読み上げ」に必ず入る運用。
運営PRD断片(レビュー運用用)
運用そのものもPRD化しておくと、新メンバーの合流が速くなります。必要十分の粒度で十分です。
■ 目的:OKRレビューを30分で完了し、翌日の実装に接続
■ 指標:Aha到達率 / 平均TTV / 翌日活性(D1)
■ 成果物:意思決定ログ(担当・期限・受け入れ基準)
■ 台本:分刻み進行(上記)、事前資料3点、Slack文面
まとめ:短い会議が、成果を早くする
OKRレビューは、Aha・TTV・翌日活性の3指標で差分を見て、30分台本で決め切るだけ。今日のアクションはひとつ——メーター3枚と施策ボード(上位3+撤退候補1)を作り、台本を読み上げて進行する。これで翌日の手が動きます。
FAQ
- Q. 30分で終わらないときは?
- A. 27分で意思決定ログの読み上げに強制移行してください。未決は次回に回し、先行指標の差分だけで評価します。
- Q. 遅行指標(売上など)は見ませんか?
- A. レビュー本編では扱いません。Aha/TTV/翌日活性が動けば遅行は後から付いてきます。別会で補足を。
- Q. 指標が悪化したときの“やめどき”は?
- A. Aha未達かつTTV悪化が1スプリント継続したら、撤退候補へ移し入れ替えます。
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