結論:ファネルは「入口→最初の手ごたえ(Aha)→翌日活性(D1)」の3点だけで作ると、迷わず改善できます。
ファネルが複雑だと、見るたびに観点が変わって進みません。それは「入口が散らばる」「Ahaの定義が複数」「時間の壁(TTV)が曖昧」という3つの理由が重なるからです。本稿は、入口を1本化→Ahaを1回に統一→TTV(p50/p95)で時間の壁を測る→翌日活性(D1)で継続を押さえるという最短の型を、テンプレと具体例つきで解説します。
1. 入口設計:チャネルは複数でも“入る穴は1つ”
同じ体験に複数入口があると、数字が薄まり判断が遅れます。そこで「入口は1本化」します。理由は、最初に通る道を固定すると、イベント設計とUIの最適化が一気通貫で回せるからです。広告でも直打ちでも、必ず同じ初期画面に着地させ、最初の操作を揃えます。
- 着地先は共通(例:/welcome)。招待リンクも最終的に同じ画面へ。
- 最初の操作は1つに絞る(例:「はじめる」ボタンのみ)。
- 入口で個人情報は求めない(価値と関係ない収集は後回し)。
- “戻る”や分岐は最小。選ばせないUIで迷いを削る。
【コピペ:入口のルール】
- 着地は /welcome に統一
- 最初の操作は「はじめる」1つだけ
- 情報収集は後段(D1以降)に回す
まとめ:入口は細く短く。
具体例:着地を一本化しただけで、Aha到達が+6pt、TTV p95が−60秒に。
2. Aha定義:完了メッセージと“同時に1回だけ”記録
「Ahaを何で測るか?」で議論が止まりがちです。それは、Ahaを複数の場所・タイミングで記録してしまうから。定義は“完了メッセージ表示と同時に、1回だけ”に固定します。こうするとダッシュボードが静かになり、TTVやD1の相関が見えます。
- Aha発火は完了トーストと同時。非同期禁止。
- 重複防止の鍵(idempotent_key)を必ず付ける。
- 分岐結果の優劣は後続で評価。Ahaは“最初の手ごたえ”に限る。
【コピペ:イベント雛形(Aha)】
event: achieve_aha
props: { session_id, idempotent_key, steps, seconds_from_entry }
まとめ:Ahaは“1回だけ”。
具体例:Ahaの多重記録を止めたら、週次の解釈ズレ(±5pt)が消えました。
3. TTV(Time To Value):p50とp95の“二重ものさし”
平均値は“体験のばらつき”を隠します。だからTTVは、真ん中(p50)と長め(p95)の二つで見ます。p50は設計の出来、p95は“詰まる人”の救済度合いです。p95短縮をMustに置くと、全体の満足が底上げされます。
- 起点:
view_entry(入口着地)/終点:achieve_aha(Aha発火) - 目標:p50 ≤ 3分、p95 ≤ 7分(例)
- p95が目標+20%を超えたら“赤”。
- p95短縮の仮説は「覚えさせない設計」(候補提示/後追い確定)。
【コピペ:TTVタイル定義】
metric: ttv_seconds
quantiles: p50, p95
thresholds: { p50: 180, p95: 420, warn_p95: 504 } # 秒
まとめ:TTVは“速い人”と“詰まる人”で見る。
具体例:候補提示を入れた週、p95が620→410秒に短縮。
4. D1(翌日活性):Aha達成者“だけ”を分母に
D1が低いのは、Aha未達のユーザーを分母に入れてしまうから。翌日の活性は、Ahaを体験した人の中で何%戻ってきたか、で見ます。理由は、価値を知ったユーザーの継続こそ、改善の焦点だからです。
- 分母:前日Aha達成者のみ。
- 分子:翌日の任意イベント(例:
return_next_day)。 - 入口別のD1も見る(広告/直打ち/招待)。
【コピペ:D1計算】
d1 = count(return_next_day where prev_day_achieve_aha = true)
/ count(users where prev_day_achieve_aha = true)
まとめ:D1は“価値を知った人”の継続率。
具体例:Aha一意化後、D1の±揺れが消え、施策の当たり外れが即判定に。
5. イベント設計:6つで足りる(増やすと遅くなる)
イベントは少ないほど、改善が速くなります。増やすのは簡単ですが、読む側の負荷が跳ね上がります。まずは6つで足ります。足りなくなったら増やす、が正解です。
view_entry(入口着地)input_hint1(手掛かり1)input_hint2(手掛かり2)select_candidate(候補選択)achieve_aha(Aha)return_next_day(翌日活性)
【コピペ:計測イベント最小セット(JSON例)]
[
{"name":"view_entry"},
{"name":"input_hint1"},
{"name":"input_hint2"},
{"name":"select_candidate"},
{"name":"achieve_aha","props":{"idempotent_key": "uuid"}},
{"name":"return_next_day"}
]
まとめ:最小から始める。
具体例:6イベント運用に絞った後、実装と分析の往復が半減。
6. ダッシュボード:4枚だけで毎朝5分
ファネルの見方は、4枚だけに固定します。見る枚数を増やすほど、意思決定は遅くなります。4枚で十分“次の一手”が決まります。
- タイル1:Aha到達率(昨日/7日移動)
- タイル2:TTV p50/p95(警告:p95>目標+20%)
- タイル3:離脱Top3(input_error / wait_over_5s / no_candidate)
- タイル4:入口別Aha(広告/直打ち/招待)
【コピペ:4タイル構成】
- Aha到達率(昨日・7日移動)
- TTV p50/p95(p95 > 目標+20%で警告)
- 離脱Top3(error / wait_over_5s / no_candidate)
- 入口別Aha(ad / direct / invite)
まとめ:数字を静かに、順番で動く。
具体例:この4枚運用で、朝会が5分で終わり“やること1つ”が即決。
7. ファネルを動かす打ち手:覚えさせない・選ばせない
離脱の多くは“思い出すこと”と“選択肢の多さ”が原因です。だから、ユーザーに覚えさせない・選ばせない設計を打ちます。候補提示は最大5件、0件でも登録を先に進める“後で確定”を用意します。
- 候補は最大5件(認知負荷を固定)。
- 0件時は登録→後で確定(分離して先に価値へ)。
- 説明は1文、詳しくは折りたたみ。
【コピペ:UIルール】
- 5件以内で候補提示(スコア順)
- 0件は登録を先に通す(後確フローへ)
- 説明は1文+「詳しく」を折りたたみ
まとめ:記憶と選択をUIで肩代わり。
具体例:候補5件制限でTTV p95が−140秒、Ahaが+4pt。
u-note(文脈リンクは本文中1回だけ)
Aha→TTV→翌日活性の順で見ると意思決定が速くなります。詳しくはKPI設計と運用ガイドへ。
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FAQ
- Q. Ahaをどの行動に置けばいいか迷います。
- A. “価値を初めて感じる瞬間”に限定してください。複数置くと数が揺れて意思決定が止まります。
- Q. イベントはもっと細かくした方がよくない?
- A. 最初は6つで十分。増やすのは簡単ですが、読むのが遅くなります。必要になってから足してください。
- Q. p50とp95の両方を見る意味は?
- A. p50は設計の中央、p95は詰まる人の救済度です。p95短縮は満足の底上げに直結します。
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